第018話 上手くやったエリック
アーヴィンから依頼を受けて3日が経った。
その間、メアリーは元気に冒険者稼業に勤しんでいるし、俺も持ち運び用コンロ作成に備えて、通常の仕事の方に集中していた。
そのため、フルフェイス・マスクマンの出番はない。
「あいつらは上手くやってるかねー?」
もちろん、メアリー達のことだ。
ちょっと心配。
「大丈夫っしょ。冒険者仲間から聞いたけど、有望パーティーみたい」
有望ねー……
「女3人っていうのが不安だ」
「逆に男が入っていいの? 娘さんを僕にくださいが来るかもよ?」
メアリーが?
「あいつ、チビだし、人気ないだろ」
「んなこたーないね。明るいし、可愛くていつも笑顔だから人気でしょ」
そうかぁ?
「そうは思わんなー」
「そりゃパパさんはそう思うでしょ。それにエリックは大人でちょー良い女が好きだから」
アンが髪をかき上げ、セクシーなポーズをとる。
「ふーん……メアリーがねー……」
俺はもちろん、可愛いと思っている。
それこそ目に入れても痛くない娘だ。
「スルーかい……」
アンがポーズをやめ、ジト目で見てくる。
「いや、すまんな。ちょっとメアリーが気になって……」
「ったく……本当に子離れ後だな、こりゃ」
アンが呆れていると、扉が開いた。
「こんにちはー……あれ? ギスギス?」
やってきたのはギルドの受付をしているヴィオラだ。
「全然。メアリーに彼氏ができるかどうかが心配なんだって」
「メアリーちゃんに彼氏? 想像ができないなぁ……あの子、そういうのより伝説を作ることに夢中だから」
お父さんはそれはそれで心配だよ。
「ヴィオラ、どうした? なんか故障でもしたか?」
「いえ、魔石を持ってきましたよ。皆さん、頑張ってくれました」
ヴィオラが笑顔でそう言って、布袋をカウンターに置いたので中身を確認する。
すると、確かにDランク以上の魔石が30個ほど入っていた。
「悪いな。しかし、あいつらも働くんだな」
「当たり前じゃないですか。肉体労働の冒険者は休みも多いってだけです。それにメアリーちゃんがこの依頼を受けろーって宣伝してました」
それで3日で完遂したわけか。
良い子だわ。
「伝説を作っているか?」
「薬草を10束持ってきて、全部雑草だったという伝説は作りましたね。もう採取の仕事はやらないそうです」
面白いな、あいつ。
というか、3人いて、誰も見分けがつかないのか。
「ゴブリンでも狩るんだな」
「それを勧めていますね。あ、アンジェラさん、冒険者の方は?」
ヴィオラが書類を書いているアンジェラを見る。
「見ての通り、忙しい」
「ですよねー……冒険者の活動もしてほしいんですが……」
前にそう言ってたな
「私はここの副店長だから。本業はこっちなの」
「アンジェラさんならAランクも夢じゃないと思うんだけどなぁ……」
仲間次第だな。
アンジェラは能力が偏っているからどうしてもそうなる。
「いい。私はエリックとこの店で頑張るから」
「さすがは私達のおままごとを断り、リアルに行った人ですね」
「おままごとなんてしてないでしょ。当時、いくつだと思ってんのよ」
アンジェラは10歳くらいだったかな?
ヴィオラもアンジェラの1個下だからまだ子供だった。
もっとも、アンジェラは成長も早く、ちょっと大人びてたけど。
「でも、付き合い悪かったですよね?」
「忙しいの」
「ほらー……」
ヴィオラがにやにやと笑う。
「いや、本当に忙しいから。今、良い仕事をもらっているのよ。この魔石がそう」
「軍からの仕事でしたっけ? どういうやつなんですか?」
ふっふっふ。
「これだ」
ヴィオラに持ち運び用コンロを見せる。
「これ、何ですか? エリックさんはたまに変なのを作るからなー」
それは時代が追いついてないだけだ。
「これは外でも火を使わずにお湯を作ったり、料理できたりするコンロだ。雨でもテント内で使えるし、野営にぴったりなんだ」
「ほー……それで軍が注文したわけですか」
「ああ。演習でどっかに行くらしいぞ。それで30個ほど注文があった。良かったらさらに注文が来るし、久しぶりの大発明かもしれないんだよ」
以前は折り畳み傘。
結構、売れたし、雨の多い南部の町からも発注があり、店を改築できたくらいには儲かった。
今回も儲けて、今度は住居スペースの方を改築したいと思っている。
中古で買った家で10年も住んでいるからあちこちにガタがきているのだ。
「へー……すごいですね」
「軍だけじゃなく、冒険者も使えるだろ。これを試供品としてやるから宣伝してくれ」
ヴィオラに持ち運び用コンロを渡す。
「貸し出したりしろってことですか?」
「そうそう。期間限定でな。フライパンを持っていけば肉も焼けるんだぞ」
普通のコンロだし。
「へー……じゃあ、ギルマスに相談してみます」
「頼むぞ。儲かったら酒を奢ってやるって伝えてくれ」
「わかりました」
ヴィオラは持ち運び用コンロを持って、ギルドに戻っていった。
「店長、営業が上手いね」
「まずは使って見てもらわないとな。町の連中、変なものを作るエリックって思っているだろうし」
地面を這うお掃除ロボはめちゃくちゃバカにされた。
箒で掃けばいいじゃんって……
時代が俺に追いつかない……
「たまにすごいのを作るエリックだよ」
そうかぁ?
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