第016話 仕事
仕事をしていくと、夕方になる。
すると、メアリーが帰ってきた。
「たっだいまー! メアリーちゃんが帰還ー!」
元気だなー。
こいつのすごいところはずっとこのテンションのままなところ。
「おかえり。今日はどうだった?」
「薬草を採取したー。全然わかんないでやんの」
それは俺もわからん。
「そういうのも勉強だ。シャーリーはどうだった?」
「シャーリー、すごいね。すごく強かった」
ちゃんとそれがわかればいいか。
「迷惑をかけないようにしろよ」
「わかってるってー」
「明日も行くのか?」
「うんにゃ。明日は休み。家にいると思う」
体力を使う冒険者はちゃんと休まないといけない。
その辺もちゃんとしているな。
「そうか。アンジェラがクッキーを焼いてくれたから手を洗って食べていいぞ」
「おー! アンジェラちゃん、ありがとー!」
「いーえ」
メアリーはテンションをさらに上げ、奥の住居スペースに入っていった。
「アンジェラ、頼むわ」
「ええ」
アンジェラが見張りの重要性を説きにメアリーを追っていく。
その後、少しだけ仕事をすると、店を閉め、3人でメアリーのお祝いをした。
翌日、この日はメアリーも店を手伝ってくれ、3人で仕事をしていく。
「アンジェラちゃん、見て、見てー。アヒルさんの口からシャンプーが出るようにしてみたー」
うん、メアリーも仕事を手伝ってくれている……
「うん。良いんじゃない? でも、お風呂に浮かばせるやつだし、いっそそういう容器を作ったら?」
アンジェラは大人だな。
「よーし、わんちゃんの容器でも作ろうかな?」
そんなのが売れるか?
「メアリー、ラシェルを散歩に連れていってやれ」
「あ、そうだ、そうだ。軍の牧場で走らせてくるー」
メアリーが住居スペースに向かい、少しすると、店の窓から白馬に跨るメアリーが見えた。
「変なものばかり作るな、あいつ」
「お父さんに似たんじゃない?」
センスは似なくて良かったのにな。
俺達が仕事をしていくと、昼前にはメアリーが戻ってくる。
「ただいまー。エリックー、お客さんだよー」
メアリーがそう言いながらアーヴィンと共に店に入ってきた。
「ん? アーヴィンか。どうした? また調整か?」
「いや、今日はそれじゃない。軍の人間として注文に来たんだ」
あ、仕事だ。
「何だ?」
「お前、前に火を使わずに食いもんを温める道具を作ってなかったか?」
「これか? 持ち運び用コンロだな」
前にアンジェラにも見せた新商品を見せる。
「それだ。水もお湯にできるって豪語してたろ」
ちょっと前に2人で飲んだ時に自慢したな。
「豪語はしてないが、普通に沸かせるし、料理だってできるぞ」
「それを30ほど納品してくれ」
30……いきなり?
「なんか軍事行動でも起こすのか?」
「んなわけねーだろ。単純に演習に行くからどんなもんかと思ったんだよ。飯っていうのは大事だからな」
飯が大事なのはよくわかる。
マジで士気に関わるのだ。
「お試しで30もか?」
「そんなもんだろ。良かったらもっと注文してやる」
結構、大きい仕事だな。
「納期は? 部品やらを注文しないといけないからそこそこの時間はもらうぞ」
「ひと月でできねーか?」
んー……部品を王都から取り寄せるからそれだけで1週間はかかる。
その後に作り出すから……アンジェラもいるし、できないことはないな。
「できると思う」
「じゃあ、頼むわ。まあ、2、3個足りなくても困りはしねーから30個を目指す感じでいいぞ。いくらだ?」
作ったばかりで値段設定をしてないんだよな。
「うーん……1個5万ミルドだな」
「たけーな」
「魔道具だし、そんなもんだ。安くできるが、その場合、大きさと重さが倍になる」
「小さいから行軍に持っていけるんだ。5万ミルドでいいからそのままで頼む」
全員が全員、空間魔法を持ってないからな。
使えるのは魔法使いだけだ。
「わかった。できたら持っていくわ」
「一部先払いはいるか?」
物を作る際に金がかかる場合は材料費を先に支払ってもらうことはある。
「いや、後払いでいい。それくらいの資金はある」
「わかった。じゃあ、頼むわ」
アーヴィンがそう言って、帰っていった。
「店長、良い仕事じゃない?」
アンジェラが興奮気味に聞いてくる。
「そう思う。やはり俺には発明の才能が……」
記憶から掘り起こしただけだけど。
「てんちょー、すごーい!」
はっはっは。
「よーし、メアリー、お使いに行ってくれ」
そう言いながらメモに必要な部品を書いていく。
「ジェフ爺のとこ-?」
この町にはホートリー総合商店という王都なんかの大きな町から色んなものを仕入れる店がある。
そこには偏屈だが、子供には優しいと評判の店長のジェフ爺さんがいる。
「ああ。軍の注文だからなるべく早くって伝えてくれ」
そう言って紙を渡す。
「りょーかい。じゃあ、行ってくるね」
メアリーは元気いっぱいに店から出ていく。
「アンジェラ、俺は冒険者ギルドに行ってくる」
魔石を仕入れないといけないので依頼をするのだ。
「私も行こうか?」
「もう昼だし、飯を作ってくれ」
「ああ、もうそんな時間か……」
アンジェラが時計を見る。
「頼むわ。お前の飯が良い」
俺もメアリーも得意じゃないのだ。
「そっか……じゃあ、作っておく」
アンジェラがちょっと嬉しそうに住居スペースに向かったので俺も店を出て、ギルドに向かった。
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