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令和ギャル、転生だかタイムリープだかして伯爵令嬢だか極妻だかになって大正時代を無双する……とかしないとか(実録!知らんけど)  作者: 真夜航洋
第1章 凛音

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第6話 「リベンジ葬式」


 二代目天童星児の葬式は慎ましやかだった。

 捜査当局による規制が入ったためだ。

 

 三日前の襲撃事件は、天童家も当局も大っぴらにはしなかった。

 天童家はメンツのため、当局は捜査の必要上だ。

 さらに治安の観点からも、当局はこの葬儀を監視することにした。   

 天童家の門前には、制服警官や憲兵たちが張りついている。


「関係者以外は立ち入るな」


 参列者も、近親者と天童組の友好団体にとどまった。


「参列者には身体検査を実施する。そこに並べ」


 武器はおろか、数珠やお経、香典以外は持ち込ませていない。




「中村。これじゃあ、事件なんて起きそうもないぜ」


 苗字で呼ばれた霧子が答える。


「本城くん。あなたは取材に来たの?それとも、ただの野次馬?」


 望遠鏡を下ろした帝都新聞の記者・本城忠彦が肩をすくめる。


「両方さ。趣味と実益。それが記者魂ってもんだ」


 ここは、天童邸を見渡せる向かいの旅館の二階部屋。

 凛音、小梅、霧子、それに学生時代の霧子の友人だという本城が狭い居室に集まっている。




 前日、霧子は帝都新聞に旧友を訪ねた。


「記者さんたちが言うところの『特ダネ』を狙えるわよ。乗ってみる?」


 天童組と清流院家の現状を説明すると、本城は飛びついた。


「おいおい。伯爵令嬢とヤクザの結婚だけでもひとネタ書けるのに、そこに抗争事件まで加わるってのか?乗るよ」




 本城は社費でこの宿を押さえ、当時まだ高価だったカメラまで持ってきていた。


「斬り合いか銃撃戦でも起きてくれると、絵になるんだがなあ」

(やっぱ、野次馬じゃん)


 江田島に来るなと言われた手前、凛音は当時はやっていたロイド眼鏡とハンチング帽で男装してきていた。


「ひい様。なんかこまっしゃくれた男の子みたいですだ」

「そう?でも、これなら角刈りも気づくまい」

 

 本城がまた望遠鏡を覗く。


「お。あいつは吉岡源蔵だ」

「それ、誰?」

「天童組の友好団体・吉岡組の組長だ。先代の頃からの付き合いらしい」

「ふうん。じゃあ天童の味方かしら?」

「いや。それが話によると、先代亡きあと二代目に組を解散するよう説得したことがあるらしい」


(ビミョーな距離感ってことね)


「お。こっちは浅草増田一家の増田寅次。こいつも友好団体で先代の兄弟分なのに、二代目とは疎遠らしい。まあ、親が偉大過ぎると子が小さく見られるからな」


(なんか星児さんって、あんまジンボーなかったんだね。ちょっとがっかり)


 身内である江田島などは二代目に期待をかけていたが、生き馬の目を抜く極道社会では「この若造に組長ができるのか?」と偏見を持たれていたのかもしれない。


 屋敷の中から読経が聞こえてきた。

 葬儀が始まったようだ。


(まあ。だからこそ、華族令嬢を嫁にしてハクを付けたかったんだろうけど)


 おととい聞いた霧子の話はショックだった。

 大正ロマンの典型と思っていた縁談が、実は政略結婚だったのだから。


(華族っていう特殊な身分には、人並みのロマンスなんてないってことなんだろうな)


 読経が終わる頃、遅ればせながら一台の乗用車が玄関先にすべり込んできた。


(あれ?あの車)


 先日自分が乗った車に似ている。

 ただここ数日街をぶらぶらして見た車も、同じようなクラッシクカーばかりなので自信はないが。


「今度は朔月さくげつ会上原組の組長だな。天童組とはシマが隣り合わせで、一緒に飲みに行ったりする唯一の味方だろうな」


 上原は老人の域にある男だ。

 星児を子か孫のようにかわいがっていそうだ。

 上原組を最後に弔問客は途絶えた。

 



「これよりご焼香に移ります。弔問の方はご順にお願いします」


 導師の案内に従い、到着順に吉岡源蔵から焼香に向かう。


「どうぞ。故人の尊顔を拝んでやってください」


 喪主である若頭・江田島の言葉に、吉岡が棺の中の星児と対面する。

 白装束ではなく、生前よく着ていた白スーツ姿だった。

 眉をひそめて若頭を見やる。


「故人の希望です。死んだあとも格好つけてあの世に逝きたい、と」


(ハイカラってやつか?これだから若造は。先輩の言う事を聞いておけば、早死にすることもなかったろうに。まあ、安らかに眠れや。二代目よ)


 手を合わせて、冥福を祈る。


 つづいて浅草増田一家の増田親分、上原組長が焼香した。

 上原の後ろには子分たち数名が控えている。

 護衛のつもりなのだろう。


 死に顔を拝む段にきて、上原が天を仰ぐ。


「おい、星児。二代目よ。どうして、こんなに早く逝っちまったんだ!」


 感極まったように、号泣する。


「わしはよ。おめえの後見人として、いや、渡世での父親としておめえを盛り立てていくつもりだったんだぜ」


 ほかの弔問客は、上原の気持ちを慮って同情する。

 もらい泣きする者もいる。


「道半ばでの憤死、たあこのこったなあ。だがよ。安心しろ。このわしがよ、必ず下手人を、大吉一家の腐れ外道どもを成敗してやるからな。おめえの無念を晴らしてやるからよ」


 そう言って、棺の中を覗き込む。


「なあ、星児。成仏するんだぜ」


 死に化粧をほどこした星児の端正な顔を見る。


 死亡を確認した上原の顔が……笑った。


(縄張りのことはわしに任せて、な)


 そう心の中でささやいた時だった。

 遺体の両の眼が、くわっと見開いた。


「成仏するのは、おめえだよ。上原」


 上原の引きつった笑顔に、短刀ドスが突きつけられた。





つづく



 

楽屋裏での愚痴

小梅「全然☆も感想も付かないですだ」

霧子「まあ。このサイトの読者はサイレントマジョリティですから。よく言えば『慎重に判断する方々』悪く言えば『タダ読みのくせに上から目線の○○ども』ですわ」←霧子の個人的見解です

凛音「☆は付くけど、読み合いさせられるKサイトもチョーめんどいけどね」←凛音の見解です

三人「んじゃまあ、手え抜くか」

ダメです。

次回もよろしくね。


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