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令和ギャル、転生だかタイムリープだかして伯爵令嬢だか極妻だかになって大正時代を無双する……とかしないとか  作者: 真夜航洋
第3章 生々流転

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第39話 「西太后の血」



(初恋の人の息子とお兄ちゃんの娘……だから雅ちゃんは、この縁談にこだわってたのか)


「ただもちろんおふたりとも、大きくなってからの本人たちの意思に任せるつもりでしたよ。お見合いをして、お互いの気持ちを確かめてからでいいから、と」 

「立ち入ったことになるのかもしれませんが、凛音のお母さんはどういう方だったんですか?」

「麗華さんはどうしようもない、不良華族ですわ。お兄様がガンで亡くなった後、西洋のカジノとかいう賭け事に夢中になって莫大な借金を清流院家に押し付ける、というね」

(霧子さんは事業に失敗した、って言ってたけどギャンブルだったんだ)


「いえ。麗華さんではなく、生みの親の…」

「寧さん?」

「あ。聞いたよ。なんか庶民の出だったから、お妾さん扱いにされた、って」


 雅が言い淀む。


「…ああ、そう聞いてるのね。でも本当は違うの。寧さんは日本名は『しずく』だけど、清国での名は『ナラ・ネイ』とおっしゃるの。イエへ=ナラという一族の末裔だったのよ」

「清国、ですか?」

「ナラ家は清朝の女帝・西太后の血族で、親日家の貴族でした。その中のひとり寧さんが、留学中にお兄様と結婚したの。でも辛亥革命でナラ家が貴族から一般人に降格されたから、凛音のおじい様が体面を保つために籍から外したのよ」

(わ。ムズ!華族界隈)


「あなたの本当のお母さま・寧さんは、伝統ある清朝貴族のご息女なのに気さくで素敵な方でしたよ」

「亡くなられたんですか?」

「凛音を生んだあと、産後の肥立ちが悪くて翌年にね。残念でしたわ」

「どうしてあーしのお父さんは、麗華さんと再婚したの?」

「おじいさまの命令で致し方なく、よ。華族のしがらみがあったんでしょうね。でもおふたりはかりそめの夫婦でした。お兄様は寧さんが忘れられなかったし、麗華さんも外に愛人を作っ……あら、いけない」


 口を濁したが、凛音も星児もしっかり記憶に留めた。


「さあ。わたくしの思い出話はこのへんにして……」

(ぬ。来るな)

「あなたがた。接吻は、なさったの?なさったわよね?なさらなかったのであれば、なぜ?なせばなる、なさねばならぬ、何事も。なさらなければなりませんこと…いて」


 舌を噛んだ。





 星児(小百合)が、運転する車の中で凛音(撫子)と話をする。


「なんかさあ。星児くんと凛音ちゃんの運命的な話、すごかったね」

「ああ。だが俺は歴女だからな。ひとつ怖いことに気づいた」

「え?やめてよ。せっかくロマンがティックトックしてんのに」


「凛音の生みの母親・寧が西太后の血縁だって話は、俺たちの転生と関係があるのかもしれんぞ」

「そもそもセータイゴーって誰?」

「清朝末期の女帝だ。だが彼女のせいで清朝は滅んだ、とも言える。雅さんが言っていた『イエへ=ナラ』の祖先は清朝に併合され、『いずれナラの者が清朝を滅ぼす』と言って死んだ。その言葉通り、ナラの末裔・西太后は内部から清朝を滅ぼしたんだ」

「ようわからんけど、それが?」

「彼女は巫女シャーマンを重用して、占いや神下ろしなどをさせたそうだ。巫女たちもナラ一族だった、という説もある」

「か、神下ろし?神様を降ろすってこと?そんなんできんの?」

「きみもした、って言ったじゃないか」


 先日撫子に降りてきた、ファンキーな神のイメージが蘇る。


(いや。あれは絶対、パチモンの神だと思う)


「神下ろしをした紫禁城のその場所の名は『坤寧宮こんねいぐう』だ。そこからあやかった名を持つ寧さんは巫女の家系かもしれないし、凛音にもその血が流れているのかもな。だとしたら…」

「だとしたら、神様ってファンキーだってこと?」

「違う。凛音の血が転生を引き起こしたのかもしれない、という仮説だ」


(凛音…転生)





「俺は気が進まねえがな」


 大吉一家の中。

 親分が若頭に苦い顔をする。

 後藤が大吉一家を愛国会に加入させたい、というのだ。


「ですがこれも一家のため、親分のためです」


 平身低頭しながらも、後藤が大川に説明する。


「大吉一家は今や連合してくれる組も八つ、構成員も千に届く大所帯です。それだけに、いろんな野郎が出てきやす。その中にゃデモクラシーをグダグダ振りかざす奴もいるんです。ここで改めて『仁義』を徹底させねえといけねえんです」

「今のまんまじゃ、それができねえってのか?」

「北は赤羽、南は蒲田、東に至っては木更津にまで組がありやす。正直、端の端までは目が届きやせん。それに加入すると言っても、名前を貸すだけでいい、と先生方もおっしゃってます。愛国会を利用するぐらいの気で付き合っていればいいんじゃねえか、と思いやす」

「…だがよ。こっちが利用される場合だってあるんじゃねえのか?魑魅魍魎の政治の世界に、俺あ首突っ込みたかねえんだがな」

「大丈夫です。そこは俺がうまく捌いてみせます。若頭の首をかけやす」


 ほかならぬ若頭が責任を持つ、と言うのだから仕方ない。


(だが、政治家ってなあ思ってるよか狡猾だぜ。こいつに捌けんのかねえ)


 この後、大川の懸念は的中することになる。




つづく



レビューを書いてくださった唯一の方だけは、感謝申し上げますm(_ _)m

それ以外の読者にとって、本作はよほど面白くなかったのでしょうね。

残念です。

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