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令和ギャル、転生だかタイムリープだかして伯爵令嬢だか極妻だかになって大正時代を無双する……とかしないとか(実録!知らんけど)  作者: 真夜航洋
第1章 凛音

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第13話 「見捨てない人、見捨てる人」


 反省会が開かれた。

 まず厨房の洋食担当・鈴木みつえが、申し訳なさそうに話す。


「私は、もっと手早く調理できるように頑張ります。今まではお嬢様と奥様おふたりだけでしたし、お食事時間も決まっていました。でもお店ではそんなわけにはいかない、ってよくわかりました」

「明日からは私も洋食作ります。みつえちゃんに教えてもらって。だから一緒に頑張ろ。ね」


 和食担当の栄子が、みつえの手を握る。


(いいわあ。仲間意識。女の子同士の友情。青春ですわ)


 傍で聞いている雅がジーンときている。


 ホール側からは双子の姉・花が小声で反省の弁を述べる。


「……うちは、なんかお客様が怖くて」

「怖い?」

「はい。お客様というより、男の人がです。今まではひい様、奥様、女中のみんなも女でした。でも男の人はおヒゲをはやしてたり、言い方も乱暴だし。声も低くてよく聞き取れないし……」


 隣で妹の蝶子も、うんうん頷いている。

 男慣れしていない、というのは全員に当てはまるのかもしれない。

 小梅が補足する。


「それとこのふたりは、お客様によく間違えられてましただ。花に注文した客から『さっきの注文、変えていいか?』って言われて、蝶子がオロオロしてましただ」

「そうなると、ふたり揃って女給というのは紛らわしいかもしれませんね」


 引き離されるのか、とふたりがしょんぼりしている。


「でも、ふたりとも一緒に女給さん、やりたいんだよね?」

「「…はい」」

 

 消え入るようなユニゾン。


「じゃあさ。エプロンの色とか変えて区別できるようにしたら?あと髪型とかも、花ちゃんはポニーテール、蝶子ちゃんはツインテールとかさ」


(また、教師も知らない英語を)と、霧子。


「ひい様。そのナントカって髪、結ってもらえますか?」

「いいよ。ふたりとも、もっとカワイくなるよお」

「「わ~~い!」」


 クビになるかも、と心配していた分、ふたりは余計に大喜びした。


(やっぱり、ひい様はお優しいですだ。絶対にひとを見捨てないですだ)


 凛音はまた、前世を思い出す。


(あーしもずっと、何もできない子だった。だから、わかるんだよ)


 何もできない子はもうひとりいた。

 泉ゆき、という女中だ。

 まだ13歳のゆきは、不器用なので料理もできない。

 吃音症なので、接客もさせられないのだ。

 屋敷では小間使いをさせられていたそうだが、そのうちに麗華にも諦められて何も言いつけられなくなったのだという。

 この店では皿洗い担当だったが、今日一日で何枚も割ってしまっていた。


(この子、どうしようか?)




 江田島が捕らわれた。

 後ろ手に縛られて、座敷牢のような部屋に放り込まれる。


(くそ。あいつら、証文を燃やしやがった)


「天童のカシラだな?おめえもかい」


 顔を上げると、同じように縛られた男たちが数人いる。

 どれも葬儀の時に見た顔だ。

 

「おめえらは上原の。どういうことだ?」

「どうもこうもあるか。上原組が下手を打ったってことで、組員全員が本部から制裁を受けてんのよ」

「本部?朔月会のか。親分はどうした?こないだ解放して、組に帰してやったはずだぞ」


 別の者が答える。


「……殺されたよ。俺らの目の前でな」

「俺らもおめえも、明日はわが身だろうよ」


 よほど痛めつけられたのだろう、傷だらけで意気消沈している。


(朔月会。名古屋に本部がある、血も涙もない組織と聞いてはいたが…)





 その頃、天童組では組員30名が道具(武器)を持って、中庭に集まっていた。

 書斎には、星児と天童組の若衆・佐久間実がいる。


「親分。カシラ以外、全員支度はできてやす」

「じゃあ、行くとするか」

「その前に、子分として自分からひとつだけ意見させていただきやす」

「おう。なんでえ?」

「カシラをひとりで行かせるなんて、無謀です!あすこは狂犬集団なんですよ!」 


 我慢ならないと言いたげに、大声で噛みついてきた。


「キャンキャン吠えるな。おめえの方がよっぽど狂犬みてえだぜ」

「親分。茶化さんでくだせえ」

「江田島は承知の上で、ひとりで行ったんだよ」

「え?」

「江田島自身が俺に言ったことなんだがよ。佐久間。若頭の一番の仕事は何だと思う?」

「俺ら若いモンを束ねることです」

「違うそうだ。親分のために、組のために先頭に立って死ぬこと、だとよ」

「……」

「若頭が単身乗り込んで行って、相手に殺されりゃ、喧嘩の大義名分になる。渡世も納得する。弔い合戦ってことで、組員たちの士気も上がる、ってえ寸法だ」

「じゃあ、カシラは殺されに行った、てんですかい?」

「江田島の死を無駄にしないためにも、ド派手にカチこんでやろうじゃねえか。なあ?」


 にやりと笑う。

 まるで、喧嘩に勝つためにはカシラに死んでもらった方がいい、とでも言うように。


(江田島さんは先代から仕えてる若頭だ。親分にとっちゃあ目の上のたん瘤、ってことなのか?)


 縁側に出て、星児が組員達に喝を入れる。


「野郎ども、用意はいいか?朔月会に……攻め込むぞ!」

「おおお!」


(新しい親分は、こうも簡単に子分を見捨てる人なのか?)





つづく



「佐久間。おめえ、早くキャラ作れよ」

「え?でも、それは作者次第じゃ…」

「女の子キャラはともかく、ありきたりの名前をつけたときはこの作者手を抜くんだよ。佐久間実…ありきたりい。クク」

(俺、作者に見捨てられてる?)

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