最近一番笑った誤変換
車を運転しながらよく音声メモに書き込みをしています。
前に勤めていた運送会社に、ブキミなひとがいました。
見た目はふつう、30歳ぐらいの兄ちゃんです。
でもなんというか、感情を感じさせないのです。
話しかけると笑いはするのですが、何を言ってもただ笑うだけなのです。
「はははは……」
顔は笑っていますが、感情が感じられません。
ムッとしたところとか、叱られてショボンとしたところとか、そんな顔をしたところは一度も見たことがありませんでした。
いつも無表情か笑顔か、その二種類しかなかったのです。
先日、高速道路をトラックで走っていた時、眠さのあまり、トンネルの入口の壁にぶつかりそうになりました。
それで思い出したのですが、無表情か笑顔しかなかったそのひとが、居眠り運転をしてトンネルの入口にトラックを突っ込ませたことがありました。トラックは廃車、積んでいた荷物もグチャグチャになるほどの大事故だったそうです。
どんな顔をしてぶつかったのかな……
やっぱり無表情で、上司に叱られても無表情で、他の社員さんからからかわれたりした時は「ははは」と笑ってたのかな……。
そうだ!
感情を感じさせない登場人物が連続殺人事件を起こすホラーを書いてみよう! 面白そうじゃない?
我ながらそのひとに対して不謹慎なアイデアを思いついて、でも面白そうだから書いてみたくて、忘れないよう、運転しながら音声メモアプリに一言メモをしました。
「感情の感じられない男」
そう喋って、メモを確認すると──
見事に誤変換されてました。
『浣腸の感じられない男』
笑いすぎて眠気が吹っ飛んでくれました。




