夏のトラック運転手、白昼のホラー
虫の苦手なひとは注意して!
トラックを運転していると、フロントガラスに虫がバンバンぶつかってくる。
特に夜間はこっぴどい。
おおきなガラスが虫の体液だらけになり、すぐに前が見え辛くなる。
それでも夜間はまだ、いいのだ。
ぶつかってくるのは小さな羽虫ばっかりだから。
昼間にはおおきな虫がぶつかってくることがある。
鳥もたまにぶつかってくる。
この前、昼間の高速道路を走っていたら──
突然、フロントガラスにどかん! と何かがぶつかる音がした。
何事かと思ってキョロキョロすると、ワイパーのあたりに、ばかみたいにでっかい虫がはりつけになっていた。
黄色い体液をぶちまけて潰れ、でっかい羽根をガラスにべっとりとくっつけていた。
「ぎゃああああ!」
思わず背筋にゾンゾが走り、私は楳図かずおの漫画のキャラクターみたいな声をあげていた。
風で飛んでいけよと願ったが、べっとりとくっついて動かない。
ずっと見えるところにはりつけになっているので、大型のUSBスピーカーをそこに置いて見えないようにした。
なんて虫だろう?
ムカシトンボとかカワゲラとか、そんなのだと思えた。
調べてみると『ヘビトンボ』というやつらしい。
夏の白昼はおそろしい……。




