もったいないから全部食べただけなのに
私はトラックドライバーの仕事をしている。
一泊や二泊になることは当たり前にある。たまに三泊、稀に一週間トラックの中で寝泊まりする。
今回は一泊を挟んで家に帰り、すぐに二泊の仕事に出る。
問題なのはごはんだ。
すべて外食にしていたらお金を使いに仕事に行くようなものだ。ゆえに家でお弁当を作って持っていく。
まずは一泊だけなので、二合ぶんの白ごはんと、豚肉とキャベツの炒め物をタッパーに入れて持っていった。出たのは日曜日の夕方だ。
まずはその日の21時に1食。
次の日の朝に2食め。
お昼までもたそうと思ってたのに、思ったより食べ進んでしまった。
「ごちそうさま」
手を合わせてタッパーの中を見ると、白ごはんもおかずもあとわずか。
たった三切れの豚肉と、おにぎりほどの量もない白ごはんで昼ごはんを食べろというのか……
それともこれにカップ麺でも付け足す? いやいやそれじゃ多すぎる。
残して捨てる?
いやいや! もったいない!
食べた。
無理して、朝ごはんにすべて食べた。
三食ぶんのつもりだったのを、二回で平らげた。
「……うっ?」
何かが……、私のお腹の中で蠢きはじめる。
「うっ……、産まれる!」
何か恐ろしいものが、私のお腹を突き破って、産まれようとしている。
もったいないから全部食べただけなのに──
人間は食品を廃棄する。
なんてバカなのだろうと思っていたが……
バカなのは自分のほうだったようだ。




