私がもう食べないと思った関東のアレ
初めて関東のうどんを食べたのはつい最近のことだ。
醤油味の濃い汁うどんを食べて、思った。
『もう……関東のうどんは二度と食わん』
関西のうどんは薄味だ。
私は山陰だが、それでもうどんといえば薄味だった。
ほぼ出汁の味といってもいいだろう。
薄味の汁に、ごんぶとのうどん。これでなけりゃうどんとはいえない。
関東のうどんはあまりにも濃い口醤油が邪魔で、気持ち悪くさえなった。
きっと関東のひとが関西のうどんを食べても同じような反応をするのだろう。
『なんだ、この、出汁の味しかしないうどんは! 物足りない!』とか思うのであろう。
蕎麦は逆に、濃い口のほうが好きだ。
関東で食べた蕎麦は今のところ、すべて美味しかった。
板橋区で食べた激安チェーン店の蕎麦ですらめっちゃ美味しかった。
私の育った山陰で、蕎麦といえば出雲そばである。
出雲そばは濃い口だ。
だからなのであろう。
神戸に住んでいた時、薄口の出石そばにはどうにも慣れなかった。
関東で、違和感のある食べ物をまた見つけた。
とんこつラーメン──
私よ知ってるとんこつラーメンといえば、泡立つような白いスープに白い麺である。
長浜ラーメンのように細くてストレートな麺である必要はないが、とにかく麺は白くあるべきなのである。
最近、関東でとんこつラーメンを続けて2店で食したが、どちらも似たようなものが出てきた。
やたら獣臭い出汁に、やたらと胡麻の風味のスープ──
具にはチャーシュー、ネギ、メンマ、そして、もやし!
麺は黄色く、なんだか加ト吉の冷凍麺のようだ。
食べながら思った。
『……まずっ』
これはとんこつラーメンではない。
いわばアメリカのとんこつラーメンだ。
もう二度と関東で、うどんととんこつラーメンだけは食べないと誓った。




