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風の強い日のドアパンチにご注意を

 仕事中、サービスエリアに大型トラックを停めました。


 用事はトイレだけです。


 トラック用の枠が一枠だけ空いていたのでそこへ停めました。

 左隣のトラックがやけに右寄りに停まっていたので仕方なく私も少し右寄りに停めました。


「トイレ、トイレ!」


 焦ってドアを開けたのがいけませんでした。


 外に強風が吹き荒れていることに気づきませんでした。


 ドアを開けるなり、風でドアが勢いよくバーン! と開き、隣に停まっていた平ボディーのトラックの横に突き刺さりました。


 呆然──


 隣のトラックのひと、出てくるかと思いきや、出てきません。


 いないのかな?


 歩いて窺いに行ってみると、運転席にも助手席にもおじさんが乗ってらして、でもドアが突き刺さったことには気づいてらっしゃらないようで、怪訝そうな顔をして私を睨まれました。


 コンコンとノックをすると運転席の窓が開きました。


「……ごめんなさい。ドアが突き刺さっちゃって──」


「ハァ!?」



 お二人に見てもらうと、「あぁ」「なるほど」と笑われました。「風が強いねぇ」と、うなずいてくださいました。


 平ボディーのトラックを二人で押すと少し動いたので、私のトラックのドアがはずれました。


 見ると意外にもお互い傷はなし。


 ただ「この傷は今ついたやつだ」と言われても仕方がないほどに平ボディーのトラックは傷だらけでした。


「すみません。大丈夫ですか? 傷、ついてませんか?」


 私が言うと──


「あー、大丈夫、大丈夫。元々傷だらけだから。そっちは大丈夫?」


 と、笑ってくださいました。




 深々と頭を下げ、トイレに行き、戻ってみると平ボディーのトラックのおじさんたちはもう出発されていました。


 私は強風に煽られないよう、おそるおそるドアを開き、キャビン内に戻りました。



 ふー……と息をつき、そこで思いました。


 お礼とお詫びにあったかい缶コーヒーでも差し入れしてあげればよかったな……。




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