ラーメンが嫌いな友達がいました
大学卒業してしばらく硝子瓶会社でトラック荷受け&事務の仕事をしていました。
そこで同じ大学から入った子と親しくしていたのですが─
この子がとにかく嫌いな食べ物が、ラーメンとお好み焼きでした。
美人で気が強い子でした。
プライドは激高なのですが、だから庶民の食べ物なんか口にしないというわけではなく、鯛の目玉でも河原に生えてるイタドリでも、なんでも食べます。
私は自分を『食の冒険者』だと思っていますが、その子から受けた影響が大きいと思っています。ビールの牛乳割りとか楽しそうにやってみる子でしたから。いつかインドに行って現地のゲテモノ料理食べてみたいと言っていました。
でも、はっきりと言いました。
「あたしラーメンとお好み焼きだけは大っ嫌いやねん。ラーメン屋とお好み焼き屋やってるオトコとだけは絶対付き合われへんわ」
歯を剥き出しにして、人間でないものを見下すように、そう吐き捨てました。
私はどっちも好きです。
特にラーメンに関しては世界一好きかもしれないと思います。
その子の前でカップラーメンを食べるとイライラされました。
「……まぁ、あんたが何食おうとあんたの勝手やけど、あたしはラーメン好きなやつはバカ舌やと思ってるで」
それでも一回だけ、私に付き合ってラーメン屋さんに行ってくれたことがありました。
私がめっちゃ美味しいと思うお店で、これで彼女もラーメン好きになってくれるかな? と期待したのですが──
鬼のような形相で、3口ぐらい食べて、あと全部残しました。ちなみに私、もったいないのでそれもいただきました。
嫌いな理由を聞いてみたことはあります。
答えは「誰でもわかりやすいアホみたいな味やから」みたいなことでした。
ラーメン嫌いなひとはいないだろうと思ってる方、多いと思いますが─
ラーメンを憎むほどに嫌ってるひと、いましたよ。