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【連載エッセイ】宇宙人のひとりごと  作者: しいな ここみ


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素敵な工場で気持ちがニコニコになれました

 ふたつ前の日曜日からずっと仕事しております。


 落ち着く暇がなく、家の布団で一回も寝ておらず、車の故障も不安だし、暑さも殺人的だし、どんどん体力も気力も落ちて、骨折してる右肩は痛いままだし、病院に行く暇なんてないし、眉間のシワが深くなっておりました。



 福岡県の工場に荷物を引き取りに行ってきました。


 着いてみると、なんだか嫌〜な感じのするところ。

 そんなに広くない敷地内に建物がひしめいていて、事務所がどこにあるのかさえわからない。っていうか入口どこよ!?


 第七工場から荷物が出るということで、敷地のまわりをノロノロ走ってようやくそれらしき入口を発見。

 大型トラックで入ったら出られなくなるんじゃないか? みたいなところを勇気を出して入っていきました。



 誰もいねえ……。



 こういうところって経験上、無愛想なオッサンが偉そうに仕切ってて、そんなん知るかよみたいなローカルルールを押しつけてくるんだよな……。

 そんなことを思いながら、指示書を手にウロウロしていると、ようやく第七工場内に三人のお兄さんを発見。

 きちっとした作業服を着て、真面目に仕事の話をされている様子。


「すいませーん。荷物の引き取りに来たんですが……」


 私が声をかけると気持ちのいい笑顔で振り向いてくれて、三人のうちの一人が爽やかに対応してくれました。

 しかしどこの部所が発注した仕事なのかよくわからないらしく、上司らしきおじさんのほうを指して、「あの方に聞いたらわかると思いますよ。あっ、僕が聞いてみますね」と、シャキシャキと動いてくださいました。


 上司らしきおじさんは一見、無愛想で偉そうに見えましたが、お兄さんに偉そうにすることもなく、笑顔こそないものの、丁寧に丁寧に頭を巡らせてくれて、やがて近くにあった事務所っぽいところへ入っていきました。


「おーい。この仕事、どこの発注かわかるかー?」


 おじさんが声をかけると、中から30歳ぐらいの、とことなく綾瀬はるか似のお姉さんが出てきました。

 このお姉さんがとんでもなく素敵だったのです。


 なんてあかるい笑顔!

 ナチュラルメイクだし作業服姿でなんにも飾ってないのに、なんてかわいいひと!

 何より九州弁がかわいすぎる!


「あー、これねー……。聞いとるとよ。ばってんこれ第10工場の仕事やけん、あっちの……」


「指示書には第七工場と書いてありますけど……」


「あーっ! ほんまやねー! えっと……誰に聞いたらわかるやろかー……。ちょっと待ってね」


 お姉さん、走りだしました。


 蝶々の舞う草原を駆けるようなポーズで、私から取った指示書をひらひらさせて。


 そしてすぐに嬉しそうに笑いながら、戻ってきました。


 戻ってきたかと思うと私の前を通り過ぎながら、手招きします。


「こっち! こっちにあると!」


 私もお姉さんを追って駆け出しました。

 仕事中なのに、なんだかお姉さんと追いかけっこをして遊んでる気分になれました。



 荷物はお姉さんが最初に言った通り、第10倉庫の外に置いてありました。


「あったぁ!」

 お姉さんが荷物を指さして、あかるい笑顔をさらにぱあっと輝かせました。

「ごめんなさいね。あっちこっち振り回して」


 お姉さんがぺこりとお辞儀をしたので、私もぺこりと頭を下げ返し、お礼をいいました。


 かわいかった……。


 久しぶりにかわいい人間を見た気がする。




 そしてリフトマンのお兄さんがやってきました。


 このお兄さんがまたニッコニコしたひとで、正直リフトの運転は下手だし、頼んない印象はあったけど、それを補って余りあるほどフレンドリーでした。


 協力プレイみたいな感じでトラックに荷物を積み込み、面倒なお願いをしても笑顔で聞いてくださり、最後に伝票を受け取った時は、私も笑顔で丁寧にお辞儀をしていました。


 なんだか本当に久しぶりに、心から感謝してお辞儀できた気がする。



 素敵な工場だったな……。


 うん。


 元気をもらいました!





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― 新着の感想 ―
 そういう場所に会うと、じぶんもそうあろうとして、広がってゆくのですね。  でも、世界は良くならない。  それは、善だけでなく悪も伝播するから! 悪の感染力をなめんなよ。←?
[一言] 読んでる私も素敵な気持ちになりました(#^.^#) ありがとうごさいます<m(__)m>
[一言] よかったねぃ  (*´ω`*)  あ、右肩他諸々お大事にー  (+o+)ノ
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