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窓だけがピカピカに綺麗な家
九州の山の中を走ってました。
すれ違う車もないような、山の奥。
こんなところに住んでるひとはいないだろうと思われるような、片側一車線の国道。
家がありました。
ぽつんと一軒だけ。
森の中に埋まっているように、道から少し降りたところにありました。
築何年だろう……。
少なくとも80年以上は経っていそう。
木の壁はところどころ剥がれ、屋根は青い藻の色。
駐車している車はなく、それどころか周りは雑草だらけで車を停められるスペースもありませんでした。
こちらを向いている面には窓が一箇所だけ、ついていました。
縁側についているような、大きなガラスサッシの窓。
潰れたような外観のその家なのに、その窓だけ、まるで今朝窓拭きしましたみたいにピカピカでした。
なのに家の中は昼間なのに真っ暗で、カーテンもかかってないのに何も見えず、なんというかホラーを感じました。
なんで窓だけあんなにピカピカだったんだろう……。




