表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載エッセイ】宇宙人のひとりごと  作者: しいな ここみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

210/489

見た夢の憶えておきかた

 眠っていて、夢の中で名作短編を思いついてしまった。


 これは面白い……。これは絶対に面白い。読んだ人も面白いっていってくれるはずだ!

 目を開けながら、そう思った。


 布団から出る前に3回頭の中で反芻した。

 夢って、起きたら忘れてしまうものだから。

 意識がはっきりするまで見たものを最初から最後まで3回も繰り返しておけば、忘れない。


 よし、バッチリだ。

 書ける。

 起きて、すぐに書こう。

 浮かれながら布団から出る。


 今、何時かな?

 時計を確認すると5時半。

 昨夜は23時に寝たから……うん、じゅうぶん眠れた。

 もう頭ははっきりしてる……書こう!


 トイレに行って、これから書くものをもう一度思い出そうとした。


『◯◯だった人が、ある薬を飲んだら透明人間になってしまって、誰にも気づかれずに死んでしまうホラー』

『……◯◯だった人って、どんな人だったっけ?』

『なんでその薬を飲んだんだっけ? 大体、それ何の薬なんだっけ?』

『あれ……?』

『前半まったく憶えてない!』

『忘れてる!』


 3回も繰り返し憶えたはずだった。

 起きてすぐに時計を見て、何時間寝たかに頭を使ったせいで、夢の内容が逃げていってしまったようだ。



 たまーにだが、見た夢をはっきり憶えていることがある。

 そういう時に共通するのは、夢を映像と音で憶えているということだ。

 自分が主人公になって、夢の内容を体験する。その体験が強烈だったり印象的だったりした時は、起きてからしばらくは憶えている。

 目覚めた頭でそれを映画を観終わったあとのように反芻して味わう。

 場面とセリフさえ憶えておけば、ストーリーは多少変わっても、見た夢を文章化することはできる。


 今朝見たのは自分が小説を書いている夢だった。

 その小説内容にはもちろん映像も音もなく、文章だけだった。

 こういう場合は一度逃がすと二度と戻ってこないようだ。

 メロディーが思い浮かんだ場合も、何度口ずさんで憶えておこうとしても、間に何か挟んでしまったら忘れてしまう。

 歌ったりギターで弾いたりしてスマホの録音アプリに入れておかないとすぐに忘れてしまう。

 具現化しない、抽象的なものは、一度頭から逃げるともう戻ってはこないということなのか。

 とにかくそういう場合は間にけっして何も挟んではいけない。

 時計を見るのはあらすじをメモし終わってからだ。



 まぁ、思い出してみたところでそれが本当に名作短編だったのかどうかは疑問ではある。

 何しろ眠っている時の意識というのは寝ぼけている。

 起きてから間に何も挟まずにすぐにあらすじをメモしようと思ったら、だんだんはっきりする頭が『なぜこれを面白いと思ってたんだろう……』と首をひねりだすこともよくある。


 でも、今朝見た夢は本当に名作ストーリーだったのだ。

 バカな自分が思いついたとは思えないほど、ひねりが効いていて、驚きのある展開だった……はずだ。


 忘れてしまったからには何ともはっきりは言えない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  夢を瞬時に文章に落とせる、具現化系の能力に目覚めたら教えてくださいね。
[一言] むかし新井素子さんが書かれていましたが。夢を覚えているのが得意だと。でも、よく考えてみると、夢の断片を起きてから物語に仕立て上げているのではないかって。 結局、話を作るのがうまい人でなければ…
[良い点] アパートが火事になる夢を見ました……。 臨場感とか、焦った感覚とか、目覚めた時は覚えてたんだけどなぁ。でも覚えてたところで、あまり小説に生かされる事はないシチュエーションかも(ー ー;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ