ベルトのお話
仕事用のズボンのベルトは安くて頑丈なのがいい。
できれば月換算100円以下ぐらいなら素晴らしい。
デザインなんかはどうでもいい。
ドンキで買った600円ぐらいのが素晴らしくお気に入りだった。
半月以上は使ったが、ちっともくたびれることなく、まるでまだ新品のようだった。頑丈さ、文句なし。コスパ最高。
ただ、バックルがちょくちょく取れるという問題はあった。取り付けが甘く、あるいは甘すぎるため、脱ぐ時によくポロッと落ちたのだ。
ある日、車の中で脱いで、置いといたら、いつの間にかバックルがなくなってて、行方不明になっていた。
怪奇現象のようにどこにも見当たらなかった。神隠しである。
新しいベルトを買いに、近所の安売り服飾店へ行った。ドンキは行かない。バックルいちいち取れるのめんどくさい。
どれを見ても千円ぐらい。
安くて890円とか……。
『しょうがない……』
890円のを前にここで買って、3ヶ月でダメになったことがあった。
月300円はコスパが悪すぎる。
千円のを取って、レジへ持って行こうとして──
290円という文字が目に入った。
『な、なんだってーーー!?』
物凄く安っぽいやつだった。
でも安物丸出しのツルッツルのビニール製とかではなく、ラッシングベルトのようにしっかりしたポリエステル製だ。ペラッペラですぐ千切れそうということもない。唯一不安なのはバックルで、それはもう『なかよしの付録?』みたいなのがついていた。
安いに越したことはない。
一瞬迷ったが、買った。
現在購入1ヶ月もまだ経たないが、いい感じである。
締めたり緩めたりが物凄くしにくいが、慣れればいいことだ。慣れれば……。まだ慣れないが……。
仕事用のベルトなんかにお金はかけたくない。
これが半月以上もってくれるのなら、これからはずっとこのベルトを買おうと思っている。
だって290円だよ!?




