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【連載エッセイ】宇宙人のひとりごと  作者: しいな ここみ


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体力作りだ! 自転車でGO!

 年末、仕事でミスをしました。


 トラックに積んでいた荷物を動かしてしまったのです。


 袋を乗せたパレットを11ほど積んでいました。

 袋が破れやすいとのことで、リフトマンの方が「こうしたほうがいいよ」と、パレットごとに隙間を開けて積んでくださいました。


 積み上がった荷物を見ると、隙間だらけ。

 急ブレーキでも踏んだら全部前に動いちゃうよな、これ。

 隙間を埋めるための発泡スチロールの緩衝材をいつも乗せているのですが、数が11パレットと奇数なので、後ろを面一つらいちにするために、すべて前に壁として使ってしまっていました。


『まぁ……。急ブレーキだけ踏まないように、運転気をつけよう』


 そう思いながらトラックを走らせていると、前に急に割り込んできた黒いジムニーが、いきなり左ウィンカーを出しながら急ブレーキを踏んでくれました。


 追突するので私も仕方なく急ブレーキ。


『あ……』

 荷物のことがとても心配になりました。

『無事だと……いいな』


 神に祈りながら降ろし地につき、ウィングを開けてみると──


『ホッ……。無事だ』


 私はそう思いましたが、お客さんは困ったような表情を浮かべ……


「あー……。ずれてるよ、これ」


 パッと見た目には無事のように見えましたが、よく見ると荷物が前に動いてて、無事なのは11パレットのうちのわずか3パレットだけでした。


 とはいえ荷物がダメになったというわけではなく、このままではフォークリフトで下ろすことができない状態になっているというだけでしたが……


「手で積み直すしかないですか?」

 私が聞くと、

「そうするしかないねぇ」

「パレット用意するから、それに全部積み替えてくれる?」


 そう言われ、一袋20kgのものを約500袋、手で積み替えることになりました。




「ひぃ……はぁ……」


 冬とはいえ、動くと汗まみれになりました。


「よいしょ……、よーいしょっ!」



 倉庫の方が二人、手伝ってくださいました。

 お二人とも七十歳手前ぐらいのおじいちゃん。

 舌打ちしたり嫌な顔したりはひとつもせずに、気持ちよく手伝ってくださいました。


「体動かすのなんて久しぶりだろ?」

 笑顔でそんなことを聞いてきてくれます。


「ええっ……! でもっ……! 自分がやったことなんでっ……! 自分のせいなんで、仕方ないッス!」

 汗だくになりながら、謝りました。

「すみません、手伝ってもらっちゃって……っ!」


「間に緩衝材、挟んどけばよかったねえ」

 おじいちゃん、ニコニコ。


「それもですけど……っ! 急ブレーキ、踏んじゃって……っ! すみません! ゼェゼェ……」


「とりあえずこの袋、破れやすいんで、気をつけてね」

 ニコニコ。


「はいっ! ゼェゼェ……」


「よいしょっ! ニコニコ」


 私は息を荒くしてるのに、おじいちゃん軽々と動きます。

 私はへこたれそうなのに、おじいちゃん元気に動き続けます。


 正直何度も疲れて座り込みそうになりましたが、おじいちゃんが動き続けてるのに自分が休むわけにはいかないという意地というか申し訳なさだけで、私も動き続けられました。




 すべてパレットに積み替えると、私は荷台の上でへたり込みました。


「ハァッ……、ハァッ……。ゼェゼェ……」


 私が息を整えているあいだも、おじいちゃん二人は息ひとつ切らさず、荷物にラップを巻いたりフォークリフトを操縦したり、動き続けています。


 ぺこぺこ謝ると、お二人ともニコニコ笑顔で手を振ってくださいました。

 お詫びというわけではないけどそこにあった自動販売機でコーヒーをお二人に買って渡し、自分はコーラを買ってトラックを発進させました。



 コーラのうまかったこと……。

 めっちゃ喉を潤してくれました。


 しかし……


 自分の体力のなさを痛感しました。

 おじいちゃんたちよりスピードでも敵ってなかった気がする。

 お二人は一人が積み替え、もう一人がリフト作業を交替でやってらしたので、積み替えた荷物の数でいえば私のほうが約二倍多くはありましたが、それでもどう見てもアラセブンの方より体力のない自分に、どうにかしなければと思いました。


 運動のためにスポーツ自転車を所持しているのですが……


『そういえば一年近くは乗ってないぞ、あれ』

 心に誓いました。

『お正月休みは自転車で体力作りだ!』







 自転車は室内保管で、玄関に置いてありますが、本来の用途にはまったく使用しておらず、キッチンペーパーホルダーとして使っていました。



挿絵(By みてみん)



 なんてかわいそうな姿……。



 正月三が日は年末に終わらなかった部屋の大掃除をしていましたが、今日、ようやく外に乗って出ました。




 私は元々体力がないので、40kmも乗ればクタクタになります。


『よーし、じゃあ今日は軽く20kmめざすぞ』


 20kmぐらいなら楽勝です。近所のサイクリング気分で行けます。

 個人的に35kmぐらいが壁で、それを超えると『えらい旅に出てしまった!』という気分になり、サイクリングがツーリングになります。


『20km走ってまだまだ行けそうなら35km、それもクリアできたら50kmめざそう』


 出掛ける時は意気揚々に、そう思っていたのですが……



 15kmでへこたれました。


 汗だくになりました。


 吸汗シャツにジャンパー、作業着ズボンに冬手袋という軽装だったのに、暑くて仕方なくなりました。

 ニット帽も念のため持っていってたのですが、そんなもの暑くてとてもかぶれない。


 自分が体力ないこともありますが、冬、暑すぎ……!

 自転車にしょっちゅう乗ってた3年ぐらい前は確かこの時期ならネックウォーマーに防寒ズボン、ニット帽をかぶっていても寒かったはずなのに。寒い中で体を動かすからちょうどよくなって、遠くまででも行けてたのに……。



 言い訳ですね。



 ハァハァゼェゼェいいながらさっき帰ってきました。

 明日はもう少し距離を伸ばすぞ!



 ……20km以上走ってみせる!(ちなみに体力あるバイカーは100km以上楽勝だそうです)




 

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  ホルダー、ハンドルじゃなくて、サドルかよ! [一言]  運動しなきゃですね。フットサルやりたい。  素振りを再開しました(毎日ではない)。  1.1キロのバットで、左右50スイング…
[良い点] 最近の老齢の方、凄い体力の人が多いですよねー。 キッチンペーパーホルダーになってる自転車ワロタwww [一言] 20キロが余裕で乗れるの凄いなぁ。 突発性難聴とメニエール病を患って以来…
[一言] 自転車がキッチンペーパーホルダーとして再利用されている光景は、何とも不思議な感じがしますね。 言うなれば、ぶら下がり健康機がハンガー掛けや物干し台として再利用されるような感じでしょうか。
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