缶コーヒーとは何か
なろラジ大賞のお題にひとつ、これどうしようかと思っているものがある。
『缶コーヒー』である。
私は缶コーヒーを飲まないのだ。
飲んだことはもちろんある。
子供の頃に初めて飲んだ時の感動も憶えている。
仕事に持って行く飲み物はいつもペットボトルのブラックコーヒーであり、これも中身はブラックの缶コーヒーみたいな味がするものである。
しかし私は缶コーヒーは買わない。
コスパ、悪すぎん?
ペットボトルのブラックコーヒーは900mlで約80円。あるいは2リットルで約160円である。対して缶コーヒーは200mlもない量で、自動販売機で買えば130円とかする。
しかも美味しいと思わない。ブラックは薄くてちょっと泥水みたいな味がする。ミルク砂糖入りは甘すぎる。甘くないのもあるが、それはやっぱり泥水みたいな味がする。
喫茶店でアルバイトをしていたことがある。
その店ではサイフォンを使っていた。
コーヒーはドリップで淹れるのが一番美味しいと聞くが、私はその店でアルバイトして以来、サイフォンで淹れたものが一番好きだ。
ドリップだとどうしてもいくらか冷めてしまうし、味も香りもサイフォンが一番だと思っている。
何よりあの、ランプの火でフラスコの水が上にぶわーっと上がって行って、サイフォンの中でコーヒー豆ともつれ合い、最後に行儀よく下にすうーっと降りてくる流れを見るのが好きだ。
家ではとてもできないけど。
(道具が結構大がかりだし、何より洗うのがめんどくさい)
休憩時間には自分で淹れて飲んでもよかったので、全種類を楽しんだ。
一番好きなのはブラジルだと思った。ブルーマウンテンは最初の一口は一番美味しかったけど、二口目からはどうでもよくなった。
砂糖もミルクもいらない。コーヒーだけで、他には何もいらなかった。
とりあえずコーヒーは喫茶店で飲むのが一番美味しい(当たり前?)。
缶コーヒーにももちろん意義はあると思う。
いわばあれはコーヒーの缶詰め。非常食(飲料)としては優れているのだろう。
私も持参したペットボトルのコーヒーが切れた時には缶コーヒーを買うこともある。
缶コーヒーを買う時、どうしても『もったいな!』という感情にとらわれる。
それでも色んなデザインの缶からひとつ選ぶのは楽しい。
自動販売機から転げ出てきた綺麗な缶を手に持って、しばらく見とれたりもする。
しかし、その綺麗な缶を捨てる時にはやはり思ってしまうのだ。
『もったいな!』
それでも私は書くだろう。なろラジ大賞用の、缶コーヒーのお題作品を。意地になっている。
なるべく缶コーヒーを批判してしまわないように、楽しい作品を書きたいとは思っている。




