だから医者がきらい
昨日は暑かった。
茨城も群馬も真夏よりも暑かった。
そんな太陽の下で1時間ずつほど仕事をしていたら気分が悪くなった。
手がしびれる。フラフラする。吐き気がする。
それでも荷物を届けないわけには行かない。頑張って約800kmを走り、昼前から病院に行かせてもらった。
手のしびれは収まったが、フラフラする。関節中が痛い。立っているだけでしんどい。
かかりつけの病院はあるが、はっきりいって信頼していないので、他にいい病院はないかとグーグルマップで探した。
アパートから近いところに新しい病院が出来ていた。
内科で、心臓病も診れて、土曜日に開いている。
私にとって都合のいい病院だなと思ったので、そこに行ってみることにした。よければ新たにかかりつけにしようと思って。
立派な病院だった。個人病院だけど何かの博物館に見えなくもないような、お洒落な建物。
入ると患者さんは一人もいなかった。まぁ、もうすぐ診察終了の時間だったので、こんなもんかなと思った。
先生は若く、どことなくのび太くんに似ていた。その時点で嫌な予感はしていた。
聴診器を手にしたので、服を上げようとしたら、服の上から当てられた。血圧を測られ、「見事に理想的な血圧です」と言われた。
問診で食欲の有無を聞かれた。
この連載エッセイにも書いたが、私の食欲はちょっとやそっとじゃ落ちない。
昨夜はカレーうどんをバクバク食べた。美味しいと感じられないながらもバクバク食べた。
今朝はパンを二つ、運転しながらバクバク食べた。胸が気持ち悪くなったが、構わずバクバク食べた。
先生は言った。
「食欲があるなら点滴しても仕方ないですねw」
私は答えた。
「そうですね。じゃあ、どうしましょう?」
先生は笑った。
「食欲があるなら、何も診るところはないです。一応、血液検査でもしときましょうか?」
私は言いなりになるしかなかった。
「お願いします」
先生は言った。
「では検査しますので、結果を明日取りに来てください」
私は言った。
「明日は関東にいます」
先生は聞いた。
「じゃ、いつ来られますか?」
私は正直に言うしかなかった。
「わかりません。会社の都合では休めないかもしれないので」
先生は呆れたように笑った。
「じゃ、何もしようがないですね。心音も血圧も正常。何より食欲があるのなら、涼しいところで安静にされていればいいと思います。お薬も何をお出ししたらいいのかわかりません」
私はぺこりと頭を下げた。
「じゃ、帰ります」
900円取られた。
私のギリギリのお給料から、900円も。
聴診器と血圧測定、あとは問診しかしてないのに。
以前、心臓病で救急車で運ばれた時、同意も取らずに心臓に器具を入れられた。
珍しいウィルス(致死率60%)で入院した時も、やたらと最新鋭の医療機器を使われ、5日で退院出来るという話だったのに、『もう少し最新鋭の医療機器を使おう』みたいな言い方で入院を伸ばされかけた。
先生と喧嘩して無理やり退院させてもらったが、ウィルスはもう、とっくに完全に、私の身体からいなくなっていた。
入院費を20万円請求された。
最新鋭の医療機器のせいに違いない。
あれ以上入院させられていたら40万円払わされていたのだろうか。
私は医者がきらいである。
しんどいのに、ほんとうにしんどいのに、『何をすれば?』みたいに笑って追い返し、900円も払わせる。
勝手に人口臓器みたいなやつを埋め込んで人をサイボーグにしてしまう。
最新鋭の医療機器を使いたいだけのために人を入院させ続ける。
私は医者がきらいである。
私は医者が大きらいである。
実家が医者である。
後を継ぐことが出来なかったというか継ぐ気もなかった。
だからこそ、医者が大きらいなのかもしれないと思う。




