【連載エッセイ】宇宙人のひとりごと

鶏からあげの恐怖リターンズ

　私はとりから星人の洗脳を受けています。

　なぜか、気がつくと鶏からあげを食べているのです。

　好きは好きだけど、そこまで好きなつもりないのに……。

　コンビニやスーパーでお弁当を買うとなぜかいっつもからあげ弁当。

　ちょっと小腹が空いた時にはファミマのからあげ。

　今までの人生で最も食べたおかずは？　と聞かれたら「からあげ！」と即答できます。

　そんなに好きなつもりはないのに！

　やっぱりとりから星人がどこからか私を見ていて、洗脳ビームを浴びせてきているとしか思えません。

　仕事が終わり、スーパーマーケットに寄りました。

　帰ってごはんするの面倒くさいから惣菜を買っていこう。

　そう思って。

　夕方なので半額祭りになっていました。

　祭りは始まったばかりのようで、お客さんみんな争うようにたむろしています。

　私は心に誓っていました。

『からあげだけは絶対に買わないぞ』

　強迫観念のような、意地のようなものが私の眉を釣り上げさせていました。

　横目で半額の鶏からあげを見ながら、スルーしました。

『あっ。これ美味しそう』

『これもいいな』

　お腹が減っていたこともありましたが、美味しそうなものが半額すぎて、明日のお弁当にも使えるしと思って、つい800ぶんも買ってしまいました。

　アパートの部屋に帰るとペットのフェレットくんが迎えてくれました。

　床に置いたスーパーの袋の中に入り込み、『何買ってきたんだー？』と聞いてきます。

　えーと……何買ったんだっけ。半額祭りが激しかったのでよく覚えていません。

　一つずつ、袋から取り出してみました。

・鶏のニンニク焼き

・生姜風味鶏南蛮

・鶏の天ぷら

・鶏の山賊焼き

・クリスピーチキン

　うわーーっ？！

　からあげじゃないけど近いものばっかり！

　どれもおいしくいただきました。