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詩篇12 言葉と音は、支配の中で息吹く

作者: 宮沢いずみ


○言葉は駄目だ

 結局、言葉はそれぞれの箱から出ることができない

 形を手に入れたものは、その形に閉じ込められるだけである○  

 

 少女はチェロを弾く。

弓を、弦を、心臓を、震わせる。

音はすべりながら、流れ落ちる。


それらは、僕の呼吸に染み込み、

僕の体の芯の方から一本の細い糸になる。

きゅっと絞られた糸をどこまでも引き伸ばして、そして手放す。

濡れたような、音。


 意識はなくとも、降りかかる声で、背中から湿っていく。


 声よりも、声。

言葉よりも、言葉。

 と言ってしまったら、それは声でも言葉でもないのかな。

 

○音○


 だけどそれは、声よりも声で、言葉よりも言葉な、音。


 それは壁にも椅子にも床にも、いたるところに沈み、脈打っている。

 果たして消えていくのか、沈殿していくのか。


 薄く色付いた酸素のようなそれは、

 はたはたはた、と消えてくのかもしれないが、

 それこそ、延々と、永遠と、

 僕達の声よりも、言葉よりも、不確かで、しかし絶対的に確かであるのかもしれない。

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