初めての友達と
評価、ありがとうございます。
とても嬉しいです。
「よし、今日は友達作るぞー。」
「はあ、せいぜい足掻いてみてください。ま、まあ、無理でしょうけど。」
とか言いつつチラチラとこちらを見てくる彩音は、実のところ心配してくれているのかもしれない。
まあ、それが自惚れでないことを願うばかりだ。
「今日もいい天気だな~。…あ、そうだこれからピクニックでも行くか?」
「ん?学校はどうするのですか?」
「勿論サボるぜ!」
彼女は、「呆れた」と言わんばかりの顔をした。
「お友達作りはどうしたのですか?」
お友達作り、友達作りねぇ。どうしたものか。
「も、もちろんやるさ、ほ、方法は、学校の校舎裏に連れ出して愛の鞭を使った告白大会?」
「…はあー、いつの時代ですか。あなた退学ですよ。…いや、私としてはそれはありがたいですが…香里ママが悲しまれるでしょうから、やはりサボりも喧嘩もいけません。」
香里ママというのは俺の母さんだ。
フンッ、どうにかして母さんと入れ替われないものか…
「はいはい言ってみただけだよ、ネタとして。」
「…一体、何が面白いのですか?」
「・・・・・・」
☆★☆
昨日から目を付けていたやつにする。
別に、特別な事をするわけじゃない。普通に馬が合いそうだなと、だから――――――
おっと、これは驚いだ。
向こうから近づいて来るとは…あまりにも凝視しすぎたか?
「よぅ、こっちばっかり見て、俺に何かあるのか?」
「あ、いや、特にそういうのはないが…何で?」
「うーん、あれだな、正直言ってもいいなら…」
「気を遣うな、俺とお前の仲だろう?」
「何がだよ!今初めて話したじゃねえか!」
ははっ、やっぱり、ノリがいいな。
「まあまあ、冗談だ。で、何だ?」
「ああ、びっくりしたぜ。あ、でな、……おまえ、ヤバい目で睨んできたから、俺に恨みでもあるのかと思ってな。」
「あ~なるほど、俺昔から目つき悪くて評判だからなぁ~。」
「そうなのか、そんなレベルじゃなかったが…あ、気にしてたことなら悪いな。」
あと、気も遣えるのか…。言うことないな。
「だから気を遣うな。俺とお前の仲だろう?」
「いや、さっきから何なんだよ!」
「ハハハッ」
「いや、ハハハじゃなくて、…」
「だがまあ、そんな目つき悪い奴に、よく話しかけに行こうと思ったなぁお前。」
「それお前ことだよ?…うーん、それに関してはマジで頑張った。」
「ふむ、さすが勇者じゃ、褒めて遣わす!」
「ハハー、って、誰!?」
「俺」
「知ってる」
「「・・・・・・」」
切り出すタイミングとしては、ここが一番いいかな。
「えーと、倉本だっけ?」
「へっ?ああ…」
「俺、友達が欲しくてさ…それでお前の事見てたんだよ。」
「あー、なるほど、分かったいいぞ。今日の昼、一緒に食べような。」
「おう!サンキューな」
「いいって、俺とお前の仲だろう?」
「お前もか!」
授業開始のチャイムが鳴ったので席に着くが、正直気が抜けた。
俺だって、少しは緊張していたのだから、ほっとした。
「彩音ちゃん、俺友だちできたぞ。」
「・・・・・・」
ん?無視された?
あれ、そう言えば、どこかこの呼び方がしっくりくると思ったら、小学生に上がる前まではこう呼んでたっけ。
あ、でもなんかボソボソ言ってるな。
「なんか言ったか?」
「……いえ、ただ、嬉しそうなので。」
「呪っていたと?」
「…まあ、あながち間違いではないですが…。」
「間違いではないのか。」
先生に見つからないようにツッコむが、あまりいつもの調子ではない。
「…その、だから、……」
「なに?」
「……わ、わ、わ私も一応友達ですからね。」
へっ?何?可愛い。
「…ボッチとしての?」
なんか、急に恥ずかしくなってはぐらかしてしまったが、ふ、不意打ち過ぎる!
「……バカ」
微かにそう、聞こえたが、反応することができなかった。
敬語後無くなっている時こそ、彼女の本性だと、知っているから。
どうでしょうか?