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ツン100%の君を落としてみた  作者: スクールストライカー
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土産で

長らく休んでしまいました。もし、楽しみにしてくださった方がいらしたら、ごめんなさい、私情です。



 俺は、駅で道草を食ってから家の前で立ち止まる。入ろうとして、やめた。

 その代わりに、隣の家の扉に手をかけた。


 ガチャリ――――――――


 やはり、……と言うべきなのか。

 相変わらず、不用心なことに鍵は開いていて、侵入し放題だ。

 まったく…俺が、そこら辺にうじゃうじゃいるストカーだったら一切の躊躇をしずにズカズカと上がり込むというのに。


 …ん?あ、ああ、やっていることは俺も同じか、グへへへ……アヒッ!


 

 ゴ、ゴゴゴゴゴゴホン

 …つい、ストカー目線で考えてしまったが、俺は悪くない、そう信じよう。


 

 まあ、長居するわけでもないし、靴は適当に脱ぎ散らかしておく。

 (よし、マーキング成功っ!)


 ただ、無言で断りも入れずにはいるのもホラーでしかないので、一応声は掛けておこう。


 「お邪魔してるぞーー」


 「……」


 返事はなし、と。

 あれ?留守か?


 ふと、後ろを向く。


 靴は…しっかりある。

 …………かくれんぼ、か?



 ……っ!?あれか、あれだな、あれなんだな!



 ……(プルプル)…彩音の、部屋に、合法的に入ってもいいん、だな!

 




 匂いは一生忘れないでおこう。…では、いざ参る!











 さすが俺も、代償が怖すぎて彩音の部屋に踏み入る事はなかったが、リビングの扉を開ければ当たり前に居た。いや、まあ、彩音の家だからいるのは当然なのだが…さすが現役ボッチなだけはあってか、姿を視認するまでその気配が捉えることができなかった。


 築20年にもなるこの家の床は、普通に歩いただけでミシミシと音が立つ。

 ついでに床で寝転がっていた彩音とも目が合う。


 「よっ、ドーナツ一緒に食おうぜ!」


 彩音は、俺が家に上がっていたことに気づいていなかったらしく、一瞬うろたえるも、すぐに顔だけはきりっと変える。依然寝た格好なのは変わりないが…


 「…数は?」

 「3つ」

 「チョコは?」

 「ある」

 「…どこ?」

 「ミセスドーナツ」

 「…いいでしょう」


 よくわからないが、何かがいいらしい。

 数は…まあ、俺と彩音、もう一つは彩音のお母さんの分なのだが…


 手短なやり取りの後、彼女はむくっと起き上がると洗面所に向かった。


 好みは一応把握しているが、彩音は気分屋だ。好みはころころと変わってしまうし、何より流行りのものを嗜もうとする。

 意識しているのかは知らないが、一々本人が教えてくれるので助かる。…暗に「買えよ?」と言っているのかは別として。


 ドーナツの入った箱を開ける。いろいろと悩んだものの、全てオーソドックスなものにしておいた。その方が、面白みには欠けるが外れはない。故に、好感度アップ、打算だらけだ。




 「さて、どれにしましょうか」

 「俺はこれかなあ」

 「いえ、あなたには聞いてません。唾を飛ばさないでください。汚いです、気色が悪いです、せっかくのドーナツが汚れてしまいます。」

 「…………そのせっかくのドーナツ買ってきたの俺だよ?」

 「あ、これがいいですねえ」



 聞いちゃいねえ、…………つか、好感度アップは?

 

 

 結局、彩音が選んだのはシュガーのかかったもちもちのドーナツだった。チョコの確認は何だったんだと呆れるしかない今日この頃。


 どういうわけか、彩音はもう食い終わったためドーナツの入った箱を閉じ、冷蔵庫にしまった。

 当然ながら、俺はまだ選んですらいなかったが。



 別にいいのだが……どうせドーナツを食いたい気分ではなかったから… どうやら彩音は初めから全部自分のものと決めてしまったが為に俺の分は残してくれないのだとよ。…………ちくしょう!



 踊るような足運びで味の感想を教えてくれる彼女。


 うん、まあ、彩音の機嫌が直って何よりだ。

 


 しっかし、現金な奴だ事、今ならドーナツ一年分無料クーポンで誘拐できるのでは?と、考えてしまうほどにちょろい。グへへッ!…誘拐した先は隣の家。…………攫った意味とは?








 

 ほどなくして、そろそろ帰ろうとしたのだが…退屈そうな彩音を見てその気が失せた。

 せっかくだから、ポッキーゲームでもして帰ろうと思ったわけだ。


 「ふう、さて、何かするか」


 その一言に、彩音はピクリと耳を動かした。

 フフ、何か企んでいそうだ。が、今はのってやろう。

 

 「いえ、お帰りになられて結構です。というか帰れ」

 「いえ、お心遣い?感謝しまーす。というわけで、…だが、どうせゲームだろ?」


 図星をつかれ、顔を赤くしているのもまた一興、最高の眺めを敗北という形でもう一度味合わせてやろう。それがいい。

 因みに、俺はサディストでもない。ただのアヤ教大罪司教の一人である。(指先はいない)


 「…ッ!い、いいでしょう、その低俗な挑発、受け殺して差し上げましょう。」

 「ありがとう。その低俗な発言が偏差値の低さを物語っているようだ。」


 なんだかんだ言って、不完全な敬語ツン。

 我々の頭の悪さがにじみ出ているこれらの会話は、無理やりなイベント発生なわけで…

 上品なラブコメなど、似合わないのである。(ん…上品なラブコメ?受けコロス?)


 「勝負と言えばこれだよな。簡単で、シンプルだしな。」

 「わかりました。後悔しても、知りませんよ!」


 テレビにコードを繋げ、埃が被った機械を起動させる。それぞれがコントローラーを手に取って、視線を交差させる。


 5,4,3,とカウントダウンが動き出す。


 突如始まった勝負は、どちらに軍配が上がるのか。…そんなものはどうでもいい。


 「負けた方、罰ゲームな!」

 「っ!?」

 

 ただ、強引なラブコメ展開は、互いに多少なりとも好意がないと、成立しないものである。

 

 

 



 

どうでしょうか?


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