彩音の想いで
彩音視点
私たちが初めて顔を合わせた時は、いつだっただろうか。
私たちが初めて言葉を交わした時は、いつだっただろうか。
私たちが初めて笑いあった時は、いつだっただろうか。………………
大切なものばかり忘れて、ありふれた毎日の風景を、会話を、顔を…すべてを思い出せるのに…頭の奥の宝箱に仕舞っておいたものが、非情にも、薄れて、霧がかかって、漏れて、どこかに消えていく。
気付けば、私たちはいつも一緒に居た。
寂しかったあの日々は、彼が、…翔太君で埋まった。……いや、埋めてくれた。
お父さんお母さんが共働きだったが為に、一人でいることが多かった私は、いつしか自分の家よりも翔太君の家の方が好きになってしまった。
だからだろうか、彼には冷たい態度をとるようになった。
なのに、彼の事は、幼馴染で、唯一の親友だと、頭ではわかっていても、羨ましいや妬ましいと突き放して、距離を取った。一定の距離を。
それが、三十センチメートル。
短く感じて、実は遠い。
昔はゼロ距離で、手をつないでいたことだってある私たち、…私には、遠すぎた。
一度離れた心は、私のダメな部分が邪魔をして、なかなか縮まらない。
努力はしようとしても、気が付けば恥ずかしくなって暴力をふるってしまうし、気が付けば顔が熱くなってうまく話せない。
かと言って、自分の持たれているイメージが崩れてしまわないようにわざと傷つけるようなことも言った。
何が本当に大事なのかを見失って――――――――
素直になれないのは、きっと今まで遠慮ばかりしてきたからだろう。
翔太君が居なければ、わがままを知らなかったし、好きも嫌いも言えなかった。自分の気持ちを言えるようになったのは最近で…………。
香里ママや拓海パパに対して無邪気にふるまえてしまうのは、…どうしてか、はわからないけれど、私のお母さんより、私のお父さんより、愛情を感じてしまうからなのは、悲しいけれど、認めざるを終えなかった。
…でも、どれだけ、どこまでいっても…これは、私自身の問題なんだなぁー。
ハハッ…………
…とにかく、私は、めんどくさい、ね。
どうでしょうか?
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