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4歩 おいでませグランドオニオン➁

――――――――――――――――


フォール:運営から通知きてたわ。『称号:報せし者』、初配信の記念称号だね。報酬はスキルPtと知識ポイントが+100Ptに、装備に色を付けたりするための染色剤各種。染色剤はギフト扱いだからメニューから受け取らない限りインベントリを圧迫することはないみたいね。それに称号スロットにこの称号をセットしておくと体力が5%強化されて、視力も10%強化されるんだってさ


スーチェ:それは結構便利な称号ですね


フォール:それと『称号:ファーストインフルエンサー』。ライブ配信で初めて同接1万人を突破した者の称号、ねぇ。え、1万人以上もみてたの?


エーテ:あたしたちは同じトループだからライブ配信開始の通知がきたんだけどね、普通のゲームってこんな格好になることないしさぁ、「センシティブラインを反復横跳びしとるかわいいギャルがおる!」って有名な絵描きさんがSNSでつぶやちったみたいでねぇ。そのフォロワーに何人も有名人がいて、その人たちも呟いて~の繰り返し?それで一気に視聴者が雪だるま形式に増えてった感じ?ライブ配信のコメントでも「○○から来ました」「△△さんが呟いてたので」的なのが多かったから調べてみたんだけど、そんな感じ?


フォール:おんどりゃぁ!誰じゃぼけぇ!?大戦犯じゃねぇか!! ( ゜Д゜)㌦ァ゛!!


スーチェ:Re:Develo内掲示板でも非常に盛り上がっていました。未だ誰も遭遇していないボス級エネミー、ドラゴン、秘密の洞窟など、エーテさんが言う下世話な方面を抜きにしても、それなりに『Re:Develo』のプレイヤーにとっても見所の多い映像だったかと思います


フォール:ん?この山岳峡谷バイオームって誰もいないの?スポーンってランダムじゃないの?


ウィノウ:掲示板で私も確認したけれど、四大文明が大河の近くで興った様に初期スポーン地点は大きな河の近く、それも自然豊かなバイオームであることが確認されているわね。具体的にはジャングル、湿地、サバンナ、海岸などと言ったところかしら。勿論掲示板の情報が全てとは思わないけれども、視聴したプレイヤーの誰もが貴方のいる場所が全く予想できなかったのよ


エーテ:つまり、初期地点に選ばれるような環境からそれだけ離れた非初心者向けバイオームにいる可能性が極めて高いということですね


フォール:嘘だと言ってよスーチェ


エーテ:ところがドッコイ現実!それはさておき、『称号:ファーストインフルエンサー』の効果ってなに!?


フォール:おいてかないでよ!まあいいわ。薄情者エーテには後で然るべき反撃を加えるとして、『称号:ファーストインフルエンサー』はボーナスとしてPPt+100Pt、SPt+100Pt、IPt+100Ptと《鑑定スキル+100Pt》するアクセサリ。称号スロットに登録することで【トループメンバーも含めて】『幸運+100Pt』、視力強化、全パラメータが倍率強化されるらしいよ。これ結構チート称号じゃない?


ウィノウ:そうね、まだ序盤だから強く実感することはできないけれど、パラメータ数値がある程度上がってくれば倍率強化だからプラスはより大きくなっていくものね


スーチェ:振りたくても振りづらいパラメータ第1位の幸運+100Ptもかなり大きいですよ。それに加えて、トループメンバーまで強化されるのは意外でしたね。それがインフルエンサーという意味になぞらえた効果なのでしょうか?


――――――――――――――――――――


 ここで一度振り返っておくが、『Re:Develo』には生命力、精神力、体力、食料、腕力、耐久など17のパラメータがある。そのなかでも分数表示されている7つのパラメータは生き残るために重要なパラメータとプレイヤー達の中で結論が出ていた。(その中で唯一『肺活量』はバイオームによってその優先度が異なるので優先度は低めなことも結論は出ている)

 次点に重要なパラメータは工叡、魔導、古星のRe:Develo御三家パラメータだ。しかしあくまで重要なだけでそれだけを上げていればいいということではない。何事もある程度バランスがとれてなければならないのだ。

 だが、ただ一つ、『幸運』だけは生存能力の上昇にどれほど恩恵をもたらすのか一切不明だった。データとして残っているのは、βテストの時に『幸運王に、オレはなる!(ド ン  ッ!)』と叫んだ幸運偏重振りプレイヤーの全てが早期に詰んだということくらいだ。


 『運も実力のうち』そんな言葉があるが、それ以前に『幸運を生かせるステージに立てるだけの努力値がなければすべて意味がない』のがこの世界である。どんなラッキーボーイもそもそもベンチ入りしてなければサヨナラ満塁ホームランを打てる確率は永久に0%なのだ。


 その結果、βテストの時から今までもステ振り幸運は地雷ムーブ認定されていた。そのせいで幸運に多くのパラメータを振ったまともなプレイヤーのデータが0なのだ。つまりフォール達は言い方を選ばなければ貴重なサンプルともいえる。


「(称号ファースト“インフルエンサー”………もしかして『幸運』不人気を見越しての効果?)」


 配信者がそのパラメータの効果を発揮すれば、プレイヤーの中でも幸運のパラメータがゴミパラメータではない事が実証できる。

 ゲームというのは、完全な最適解が出てしまうとつまらなくなってしまう物である。どんなゲームでも、やり込み要素を増やしても実際にやり込んでくれる人がいなければ意味がない。

 

 βテストと1週間の正式版のプレイを経て、多くのプレイヤー達は自然と似たような行動をとり似たようなパラメータ振りをし始めている。しかしこれでは面白みがない。

 そんなゲームでも自分だけの面白さを見出していくのが玄人ゲーマー達でもあるのだが、スーチェは自分が比較的異端の類であることは理解できている。


 自分の好きだった数々の玄人向けMMOゲームが、プレイヤーの過疎化でサービスを終了してしまっていた。スーチェにとってはそれはとても悲しい事だった。どこまで行っても自分はマイナー側で、やはりライト層も多く取り込めなければゲームは衰退するという事を重々理解していた。


「(だからこそ積極的にライブ配信を行える環境を整えて、称号で新たな分岐を切り開こうとしている?)」


 それほど気が回るなら難易度下げればいいのに、とはスーチェは思わない。人数が増えるということは、色々な層の人が参加するということでトラブルの件数も加速度的に増えるのは確かだからだ。


 一体運営がどんな理由でこれほどの物を与えたのかスーチェが考え込んでいると、フォールは更なる爆弾を投下する。


――――――――――――――――――――


フォール:それとね、まだ話は終っちゃないのよ。今通知を確認してんだけど、あと7つ称号が手に入ってるんだよ


エーテ:7つ!?Σ( ̄O ̄ノ)ノ


ウィノウ:1つは、予想できるわね。私達も獲得したもの


スーチェ:『称号:遭遇/災害之名ヲ持ツ物(アンタッチャブル)』。災害級(ハザード)エネミーに最も早く遭遇した者に与えられる称号。

 PPt、SPt、IPtをそれぞれ100Pt取得。称号をスロットに登録しておくと索敵範囲の拡大と、災害級エネミーのエンカウント率が上昇する効果があります。

 

ウィノウ:因みに、称号は取得すると自動的にスロットに登録される仕様だからスロットから早く解除した方がいいわよ


エーテ:あのドラゴンとか絶対ハザードエネミーだしね!スロットに入れたままだとドラゴンに逢えるかもよ!

(。 >艸<)


フォール:ウェルダンはイヤーーーーーーーーー!!!!

( ゜д゜)


――――――――――――――――――――


 フォールが慌ててパラメータを確認してみると、称号スロットのところに取得した称号が勝手に登録されていた。


「(アッチョンブリケ!?私は生き餌になる気はない!!)」


 称号スロットからその称号を解除して、フォールは恐る恐る洞窟から出てドラゴンらしき生物を見た方を確認するが巨大なエネミーが接近してくる様子はなし。ホッと安堵の息を吐く。


 フォールは見た目に反して小さい頃は自然を駆け、スーチェに付き合ってゲームをしていたので玄人向けゲームにも慣れきっていた。

 なので口内魚市場で30分以上の格闘をしようとも案外苦にならないタイプだ。


 しかしまたすぐにあんな目にあいたいのかと聞かれれば絶対にNOである。


 再び現状絶対的安全地帯である光のドームの所まで戻ってくると、スーチェから新たにチャットが来ていた。


――――――――――――――――――――


スーチェ:予想ではありますが、私達があの短期間で2度もハザードエネミーに遭遇したのは間違いなくこの称号のせいでしょう。もしかすると1人では目に見えて効果を発揮することはないのかも知れないですが


ウィノウ:その称号を知らずに獲得していたプレイヤーが4人もいたのよね。となるとエンカウント率が目に見えて上昇していてもおかしくはないのよ


フォール:そうだといいんだけどね〜


エーテ:それでそれで、他の称号は!?


フォール:全部書くの面倒だからスクショ載せる

■                   ■

称号:万死一生

条件:死亡寸前で一定時間耐久し、災害級から単独で生還を遂げる

ボーナス:PPt+1000Pt、SPt+500Pt、IPt+500Pt、体力+500Pt

効果:逃走時、腕力・脚力・耐久・感知・幸運を倍率強化。敵が強大なほど倍率上昇。

■                   ■

称号:攫われた姫君

条件:エネミーに生きたまま攫われて一定距離以上を移動する(女性限定称号)

ボーナス:幸運+1000Ptのアクセサリ

効果:幸運を極大倍率強化。巨大エネミーのエンカウント率上昇

■                   ■

称号:旅する者

条件:一定距離以上を移動

ボーナス:脚装備『旅人の革靴』

効果:食糧+100Pt、水+100Pt、体力+100Pt、脚力+100Pt

■                   ■

称号:勇往邁進

条件:一定以上上位の存在を相手に単独で30分以上の連続戦闘

ボーナス:生命力+500Pt、体力+1000Ptのアクセサリ

効果:生命力+1000Pt、体力+500Pt、肺活量+1000Pt/脚力・腕力・智力・耐久を倍率強化

■                   ■

称号:マイホーム

条件:拠点を設営する

ボーナス:PPt+100Pt

効果:ホームにいる間の回復能力強化。食糧、水、体力消費率の減少

■                   ■

称号:スーパーランカーVG・Bro

条件:VG・Bro急上昇ランキング入り達成

ボーナス:工叡+100Pt、魔導+100Pt、古星+100Pt、スペシャルギフト

効果:食糧+100Pt、水+100Pt、運搬+100Pt、器用+100Pt、幸運+100Pt

■                   ■


フォール:あれ?反応がない?もしもーし、おるすですか?


フォール:ノックしてもしもーし


フォール:こちらフォール、応答を願う


フォール:ヘイヘイヘーイ!MU★SIですかー!?


フォール:ドン引きメンヘラムーブかますけどいいの?


フォール:ねぇ知ってる?ウサギって寂しくてしんじゃうんだぴょん?


エーテ:ねぇ知ってる?ウサギはぴょんって鳴かないんだぴょん。『んぎぇ!』ってなくんだんぎぇ!犬がワンで猫がニャーなら、うさぎは当然『んぎぇ』だんぎぇ!


フォール:エーテが帰ってきたんぎぇ!


ウィノウ:そもそもウサギは声帯がないから鳴けないのよ


フォール:謀ったなエ―テんぎぇ! ( `皿´)


エーテ:ばれたかんぎぇ! (≧◡≦)


スーチェ:あまりの効果に流石に言葉を失いました。蛇足ですが、ウサギは声帯がない代わり鼻で鳴くことはあるらしいですよ


フォール: (°д°)!?


エーテ:(´°(oo)°`)ぶひ!?


スーチェ:話をもどしますよ。改めて確認しましたが、条件が厳しいだけあって称号の持つ力はその獲得何度と比例して極めて大きいみたいですね


ウィノウ:1回あたりのレベルアップでPPt+5Pt、SPt+5Pt、IPt+5Ptだから、3桁、4桁クラスの上昇値は規格外すぎるわよね


スーチェ:恐らく、フォールさんが取得した称号は本来、文明がかなり発展を遂げて装備もいろいろ整って、運も大いに絡んだ末に取得できる称号のはずなんだと思います。1000Ptの上昇が受け入れられるような段階となれば、この称号が本来取得できる推定レベルは最低でもLv500以上かと思われます


フォール:まぁ、そんな気はしてた。最初バグかと思ったけどそうじゃないみたいだし


エーテ:現状ではフォールちゃんが最強プレイヤーかも?かもかも!?


ウィノウ:暫定ではあるけれども、どう考えても規格外よね。成し遂げたことが『なにか特殊な訓練を受けたわけでもなく、裸一貫で竜巻に自分から突っ込んでいって長い間奮闘して無傷で生還した』のと同じようことだと考えれば、これだけのボーナスも理解できなくはないけれども


フォール:どうだろうねぇ。これだけ一気に色々強化されたところで、あのデカブツとかドラゴンに勝てるイメージが一切わかないんだけど。腕力を極端に上げたところで巨大な岩を持ち上げられるってわけでも素手でエネミーを倒せるってわけでもないらしいしね

――――――――――――――――――――


 実のところ、【古星】と【魔導】をある程度まで成長させると、『魔拳』系のスキルが獲得できるように素手でも有効なダメージを与えられるようになる。だがこれも料理スキル同様にプレイヤー達には発見されていない優良スキルだったりする。


 『Re:Develo』の世界での『腕力』は、物理攻撃力とはほとんど関係ない。それを理解せずに腕力上げに傾倒しβテストでは幸運極振り戦士同様に詰んだ者が多くいたが、冷静に考えてほしい。例えば人間の極限まで腕力を鍛えた人間がいる。その人間は確かにただの人間よりは遥かに強い。しかし敵に攻撃したり木を切ったり石を砕くには、素手より道具を使った方がはるかに賢い。そして腕力を地道に鍛えるより道具を強化したほうがよほど賢い。

 極端な話、チェーンソーやフライパンを使うのに腕力は重要か、と問われれば、ノーと答えるのと同じような物である。文明が発展するほどに『腕力』はいらない子になっていくのだ。腕力はある一定の物を持つ際に必要な値なだけで、最低限その値まで上げればそれ以上に上げる必要はにない、というのが結論である。

 

 しかしそれでは腕力パラメータを自分で伸ばせる意味が極端に薄れてしまう。その救済措置が『腕力』がダイレクトに影響する魔拳スキルだったりするのだが、以上からわかるように『Re:Develo』では戦闘能力をプレイヤーの素体にほとんど依存していない。なのでボーナスで拳銃でも貰っていれば話は大きく変わるが、フォールは拳銃おろか武器の類を一切もらっていない。どちらかと言えば単純に生存能力は非常に上がったが、それが=最強な訳ではないのだ。


 『Re:Develo』の本質はハック&スラッシュではなく、サバイバル。生き残りさえすればいいのである。


――――――――――――――――――――


スーチェ:ところで、2つ質問があります


フォール:どんとこい。3サイズだっていいよ~


スーチェ:知ってるので興味ありません。聞きたいのは、スペシャルギフトとホームについてです。まずはスペシャルギフトの詳細について教えていただけませんか?


フォール:ああ、これね。なんかガチャっぽい感じだよ


エーテ:ガチャ?


フォール:なんか、仲間にできるエネミーがランダムで手に入るっぽい。候補には【獣】と【魔法生命体】と【工叡生命体】ってなってるけど


スーチェ:それは、途轍もない優遇措置ですね


フォール:そうなん?


スーチェ:この世界、人間よりそこら辺のエネミーの方が基本的に能力値は高いので。仲間にできる生物はしっかり育てれば強力な味方になります


ウィノウ:なるほど、一度配信者として注目を集めた人に、次の動画のネタを運営側から提供しているわけね


エーテ:なんだか運営サイドがとてもいやらしく思えてきた!?


ウィノウ:もう一度配信してほしいという強い意志を感じるわね


フォール:あ、たぶん其れ間違ってない。詳細が細かすぎて読み飛ばしてたんだけど、ライブ配信中なら手に入れられるエネミーの突然変異率が極大上昇だって。しかも同接数に準じて生まれるエネミーに特殊な強化が施されるみたい


エーテ:確信犯だね!もはや隠す気を感じない!!


――――――――――――――――


 しかし、フォールはワクワクする反面、どこか冷静に考えてもいた。

 自分が『スーパーランカーVG・Bro』の称号を取れたのは全くの偶然。無名且つ初配信、其のうえ一般には認知されていないマイナーゲームの配信が、VG・Broの急上昇ランキングに載る。これはあり得ないことと言ってもいい。

 連日VG・Broの急上昇ランキングの上位を占めるのは有名実況者がプレイする有名なゲームばかりだ。そこに自分がランクインするのはフォール自身でも不自然に感じている。

 

 エーテ曰く、どうも偶然、情報発信能力の優れた人物の目に自分は止まったらしい。だからといってここまで極端にバズったりするだろうか?スーチェが言うには、VG・Broと『Re:Develo』は密接な関係にあるという。ならば、その関係を利用して自分の動画を積極的に目につきやすい位置に表示することもできるだろう。一度視聴者数を稼げる者が現れたなら、その人物に多くの投資をする。それは単純だが間違ったことではない。


「(でもなぁ、私の場合は事故配信っていう完全に偶発的な物だから、運営側も大誤算なんだろうなぁ)」


 急上昇ランキングはそれなりに元々知名度が高い人物しか載れないランキングだ。なのでこの称号は『その称号を得た人物が元々高い集客力を持つ』ことを前提にされている雰囲気を感じる。

 しかしフォールは宣伝したわけでもなんでもなく、偶然うまく雪だるま形式で視聴者が増えただけ。最後は説明もなくいきなり配信を終了している。これではもう一度配信したところで視聴者数を稼ぐことなどできはしない。

 分かりやすく言えば、フォールの状態は一発屋芸人に近いのだ。そして人気最高潮はもう終わったのである。

 

 あの配信がどう見ても事故配信というのもプラスにはならない。事故配信なら二度目があるとはほとんどの者は考えない。つまり忘れられるスピードも異様に早いということである。


 まぁ、実況者として有名人になりたいわけでもないしどうでもいいんだけねぇ。

 フォールは運営サイドに言い訳するように胸中で独り言ちていると、スーチェからチャットがくる。


――――――――――――――――


スーチェ:ではひとまずスペシャルギフトについては置いておくことにして、「ホーム」について質問です。この『ホーム』とはライブ配信の最後の方に映った不思議な機械のような物ですか?


フォール:わたしにもよくわかってないんだなこれが。知らないうちにインベントリに『TemporaryBaseCoreMachine』ってアイテムが手に入ってて、それを設置したのが原因としか思えないんだよ。このアイテムすごくてさ、このアイテムの近くに居る間は生命力がグングン回復するし、食糧とか水とかほとんど減らんの!しかも運搬に換算して1万ぐらいのインベントリ付き!


エーテ:なにそれずるい!いいな~!!


フォール:なんか結構適当に設置したけど、これ一度設置しちゃうと撤去もなにもできないっぽいから無理!条件を満たさないと移動・破壊は不可能です、だってさ


ウィノウ:ちょっとまって頂戴、スーチェが絶句しているわ


フォール:ん?いやぁなんかわたしばっかりチートみたいな状態になってごめんね?


スーチェ:いえそういうことではなくてですね


スーチェ:それスポーン地点を更新してしまうタイプのアイテムではありませんか?


フォール:え


エーテ:どういうこと?


スーチェ:『Re:Develo』では条件を満たさない限り、死亡時にリスポーンする場所は初期スポーン地点です。フォールさんがどれだけ初期スポーン地点から離れようとも、インベントリに入ったアイテムこそ無駄になってしまいますが、死ねば初期スポーン地点に戻ってこれるんです


ウィノウ:ああ、そういうことね


ウィノウ:それ結構まずいんじゃないのかしら


スーチェ:その手のアイテムは、確かダンジョンアタック用のアイテムだったはずです。βテストでも試験用に配布されたアイテムで、ダンジョン内で死んで一々初期スポーン地点からまたリスタートでは大変過ぎる


スーチェ:なのでスポーン地点を変更するアイテムが配布されました。ただし、その位置をこまめに変えつつゴリ押しで攻略できないように、設置したら基本的に動かすことはできない仕組みになっています。言い換えれば、変な位置に設置するとゲームが詰んでしまう諸刃の剣なのです。βテストではボス部屋前に設置したせいで、スポーンした途端にボスと通常エネミーの挟み撃ちにあって無限リスキル状態に陥ったようですし、あるいはダンジョンの奥に設置したせいで帰還できなくなるケースもあったと書いてありました。


スーチェ:まさかですが、そのアイテムの類ではありませんか?


スーチェ:フォールさん?


フォール:ごめん、それかも


フォール:でもトループメンバーは共有できるって書いてあるんだけど!?


スーチェ:共有はできます。ただ、その手のアイテムはそのメンバーが直接そのアイテムに登録をしないとダメだったはずです。そうでなければ、トループメンバーの一人がそのアイテムを設置しただけで、他のトループメンバーはスポーン地点が勝手にチェンジされるという事態になりかねませんから


エーテ: もしかして:プレミ


ウィノウ:要するに、フォールはこっちに戻ってこれないってことよね


スーチェ:現状では、そういうことになります


――――――――――――――――――――


 称号をたくさんもらって少々浮ついた気分から一転、フォールは自分のやらかしたとんでもないプレミに耐えられず、「なんて日だっ!!」と洞窟内で慟哭するのだった。




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― 新着の感想 ―
[一言] すごく面白そう… どんな設定が盛り込まれてるのやら(´・ω・`) いつか復活する事を真に心からお祈り申し上げます…
[一言] これからって感じのとこで終わっとる!? 面白かったです
[一言] 割り切って検証勢がPt的に検証出来なかった組み合わせで振ってみるとか逆に良い結果に辿り着きそうw てか今の総合取得Ptが「本来上げるのが辛くなるLv帯まで」の入手分を余裕で超過している可能性…
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