2歩 口内魚市場とプレミとスライム
(´・ω・`)主人公を苦境に陥らせほのぼのさせられない病にかかってるかもしれない
フォールの『Re:Develo』サバイバル生活1日目は概ね平和だった。1週間とはいえサバイバル生活の先輩であり掲示板の情報収集も欠かさないス―チェの丁寧な説明や指示のお陰で、この世界では驚くべきことに一度も死ぬことなくフォール達はレベル上げに勤しむことができていた。
石斧で岩を殴って石材や火打石などを採取。続けて木を殴って木材やツルなどを採取。これを組合わせて『石斧』をクラフト。更に黙々と資材収集。これの繰り返しだ。
因みに、フォール達の場合は先行してスーチェが石斧を作っておいてくれたおかげで経験せずに済んだが、最初は本当になにも道具が無いのでチマチマと石を拾い、手ごろな石で地道に殴り続けて石材を集めなければならない。しかしこれはマシな方で、手ごろな石がないバイオームでスポーンしてしまったならば『手がっ、手がおしゃかになった!』と叫びながら素手で殴って資材を集めなければならなかったりする。
資材を集めたならば、今度は武器の製造、ではない。序盤は石斧くんが採取も戦闘もこなしくれるので、わざわざ槍などの武器を作ったりする必要はないのだ。その次にやるべきことは安全地帯の構築である。
『Re:Develo』ではあることをしない限りスポーン地点は常に初期スポーン地点に固定である。なのでこの初期スポーン地点に『イカれたメンバーを紹介するぜ!』のテンションで突撃してくるイカれたエネミー達に殺されると、あわれリスキルフェスティバルが始まってしまう。
なので最初は石壁や柵などを作り、スポーン地点を守らなければならない。といってもバランス調整おかしいクソエネミーさんたちは平気でバリケードを破壊してくるので明確な効果があるかは不明だが、レベル上げには効果的という結論はでているのでスーチェ達も初期スポーン地点の防衛レベルを上げる。
だが、ここでも3分クッキングの如くある程度スーチェが作ってくれている『床だけツリーハウス』或いは『木の上に座礁した筏』が既に用意されていた。
プレイヤースキルにもよるが、どんな仮拠点を作るかはバイオームで大きく左右される。
フォール達がいるのは資材が豊富な代わりに危険生物もウヨウヨしているジャングルバイオーム。藁ぶきの小屋では3匹の子豚の長男の如く鼻息一つで吹っ飛ばされてパクっと美味しくいただかれる事態になりかねない。
なので可能であれば密集していない木(間隔が近いと木を伝って蛇などに襲われやすい)の上にツリーハウスを作ったほうがいいのである。
しかしどんなに頑張ってもスーチェ一人では限界がある。なのでフォール達も協力して床を補強し、生き物が木を登ってこれないように『返し』を設置し、蔦で編んだロープは縄はしごにランクアップした。時にひょっこり生物がやってくることもあったが、運が良かったのか狂ったエネミーはおらず、4人の連携で危なげなく倒した。というより、1人が囮になって残り3人が床だけツリーハウスから石を投げつけて倒すという結構卑怯な作戦で倒していた。
そんなこんなで1日目は終了。翌日は休日だったので早くからフォール達はログイン。仮拠点が安定化していたのも彼女たちの気を大きくしたのだろう。エーテの提案でレベル上げもかねて周囲の探索に乗り出したのだ。序盤は愚直に素材集め、という定石から外れる行動ではあったが、経験者兼データベースのスーチェもGOサインを出したので4匹の綺麗な原始人はジャングル探検に乗り出した。
スーチェも普段なら、もう少し渋っていただろう。しかし前日は一人も死なず、そして遭遇したエネミーが軒並み倒せたことがその玄人ゲーマーとしてのゲーム感覚を僅かに狂わせた。
きゃいきゃい姦しく騒ぎつつ探検を進めた4人は途中で大きめの川を発見。そこで一度食事を取ろうという話になり、前日獲た生肉を串刺しにして焚火を始めた。しかしこの世界は理不尽でバランス調整が安らかに息を引き取っていることに定評のある『Re:Develo』。空からなんの前触れもなくソイツはやってきた。
巨大なフクロウナギにコウモリの羽を生やしたような不気味なエネミー『ヴァスカテュフォン』。基本的に『Re:Develo』の生物は活動する地点がある程度バイオームの区画で固定化されている。しかしそれを無視できる捕食者の中でも頂点に位置する強大な存在がいる。それが理不尽の権化と名高災害級エネミーである。その一体に不幸にも彼女らは遭遇してしまった。
この災害級エネミーはβ時代にはおらず、正式版になってから実装された新要素だ。なので情報源の多くをβテスターの掲示板での書き込みに頼っているスーチェにはそれがどんな存在か、どれほど危険かを咄嗟に判断できなかった。
しかしわざわざ数値化して危険性を明確化されなくとも危険なのは一目瞭然。彼女たちはその場で抱きしめ合ってキャ――!と叫ぶような初々しい真似はせず、見事なまでの反応スピードと慣れで逃げる方面が被らないように一斉に逃走した。
そして森の中でありながら奇跡的に全員が合流し、とにかくあのエネミーから離れよう、という話でまとまった。その後、食糧ゲージが危険水域に到達したことで見た目からして危ない果実をエーテが食べて倒れ、そこに再度襲来した災害級エネミーからフォールがエーテを庇った。そしてパクっと飲み込まれボスエネミーが飛び去ったのが数時間以上前のこと。
飲み込まれたフォールは初の死亡を経験する、とはならなかった。
「(にゃぐぅわああああああ!?ヤバい!吸い込まれる!!いや、ただ死んでたまるかーーー!マウンティング天下一武闘会を日々生き抜くぴちぴちJDの命は安くないわっ!!)」
飲み込まれたフォール自身も、生き残るために必死だったのでなぜそのようなことをしたのか具体的に説明することはできない。飲み込まれる最中、メニュー画面からクラフト技能を発動したフォールは咄嗟に槍をクラフトしその巨大な口の中にぶっ刺した。
コンマ零点数秒遅れていたらフォールは死亡判定になりリスポーンしていただろう。しかし魚の小骨が喉に刺さるように、上手いこと偶然にもフォールは口奥の方でギリギリ引っ掛かった。
このエネミーは掃除機のように周りの空気ごと餌を吸い上げて捕食する。その吸引力はサクロンジェット採用のダイソンにも劣らない吸引力。抵抗できる物ではない。なのでフォールの必死の抵抗が成功したのは完全に偶然の産物だった。
急に口の中に異物が刺さった災害級エネミーは激しくのたうち、そのままあてもなく空へ逃げ出す。その間、フォールはなんとか槍にしがみついて耐えていた。
30分ほど地獄ような時間が続いたが(あとでスーチェ達に見せつけるために途中から自分の雄姿を録画していた)、そのあたりで急激にフォールの身体能力が上昇。なぜ急に掴むのが楽になったのかフォールにはさっぱりわかっていなかったが、そんな事はどうでもいいとばかりにインベントリに入っていた謎の葉っぱをガジガジと齧って飢えを凌ぎ必死に耐えていた。
フォールは猫を被っているだけで一度スイッチが入るとなかなか負けず嫌いなタイプだ。フォールの猫かぶりにあっさり騙されている大学の男子たちにはあまり見せられない必死の形相で、フォールは獣のように唸りながら懸命に槍にしがみついていた。
しかし槍にしがみついているだけでは埒が明かないのも明白。フォールは槍にしがみつきつつ必死に打開策を練る。
槍で口の中をグリグリしても、足で蹴っ飛ばしてもエネミーはのたうつだけ。どうにか吐き出してもらえないか考えた末に、フォールは火打石と木材、木製繊維をクラフトして松明を作成。
その松明をもってしてエネミーの口の中を根性焼きし始めた。
「(あはははは!痛いだろ!さあ私を吐き出すのだ!ここすっごい生臭いんだよ!口内魚市場かっ!)」
30分以上の我慢勝負でフォールの被っていた猫は「こんなところで働いていられるか!私は帰らせてもらう!」と休暇申請をぶん取り白川郷へ。幼少期にガキ大将として男子から恐れられたフォールの本性が剥き出しになる。
そんな彼女の執念が通じたのか、口の中を根性焼きされて災害級エネミーは今までにないほどに激しくのたうち大きくえづく。そして遂に他の腹の中身諸共勢いよくフォールを吐き出した。その勢いで槍もすっぽ抜け、フォールはドボン!と川の中に大量の吐しゃ物と共に落下。一歩間違えばただのアグレッシブな投身自殺になりかねなかったが、下が水だったお陰でフォールは落下ダメージを受けずに済んでいた。
「(ふ~、ようやくお天道様とご対面、口内魚市場ともお別れえええええええ!?)」
しかしそこで危機から脱出できたかと思いきや、今度は辺り一帯に響き渡る轟音。その視線の先は崖、つまり巨大な滝になっていた。
「(くぅぅぅぬあああ!死んでたまるか~~!!水泳は得意種目なんじゃ~~~!!)」
フォールが幼少期に過ごした地域は、22世紀でも珍しいほどに長閑で自然豊かな地。子供たちが近所の川で遊ぶこともあった。なので小学校では『もし川に流されたら』というシチュエーションで訓練も行っていた。と言っても基本的に浅瀬でしか遊ばないのでそれが役に立つことはなかったのだが(寧ろ役に立つ機会はない方がいい)、10年の時を経てその訓練は彼女の命を救った。
そのレクチャー通りにクロールで全力で岸まで泳いだフォールは持ったままだった槍を岸にぶっ刺して九死に一生を得たのだ。
巨大な滝の近くの川の水は流れが非常に速い。故に川から岸へあがろうとしてもなかなかできない。特にそんな状況下では冷静に物を考えることが難しく、無駄にもがいて体力を余計に消費してしまう。だがこの槍が支えになったことで、なんとかフォールは川から脱出できたのだ。
「(ぶぅぅ、疲れた、死んじゃう)」
『Re:Develo』には体力という概念があるが、激しい活動しても現実のように息切れを起したり倦怠感を感じることはない。だが、体に見えないおもりでも載せられていくように体が動かなくなっているのだ。
いろいろと無理をして生存しているフォールは既に色々と限界だった。
しかし捨てる神あれば拾う神あり、『Re:Develo』の乱数の神様はフォールを見捨てなかった。川っぱたで死体のように転がっているフォールの目の前を、どんぶらこどんぶらこと大きな桃が流れてくる
「(これは、スライム!しかもデカイ!)」
ことはなく、桃色のスライムが川を流れ来た。
『Re:Develo』では激よわ種族原始人のプレイヤーだが、そんな『Re:Develo』でも原始人より明確に弱っちい存在が幾つか存在している。その一つが『Re:Develo』のエネミーのアイドル、『スライム』である。
色や性能はバイオームによってある程度違いがあるが、饅頭型の頑丈な水風船状のボディはほぼ変わらない。サイズは風呂桶より二回りほど大きめで(上位種ならもう少し大きい)原始人が抱えるにはちょうどいいサイズだ。
コロコロ転がって移動し、時おりぴょんぴょん跳ね、攻撃すらしてこない。
『Re:Develo』のスライムは老若男女全ての原始人に大人気である。
しかし、人気の秘訣はその可愛さだけではないのだ。
「(取った―――!)」
今までの態度はどこへ行ったのか。フォールは川で選択する婆さんも唖然とするほどの疲労感を感じさせない動きで素早く立ち上がり、川を流れくるスライムの下にサッと槍を差し込む。そして槍の先を勢いよく上げてスライムを引っ掛けて岸に掬い上げる。
人間切羽詰まるとこうも変わるのか、その一連の動きに可憐さは欠片もない。そこにはほんのりギャルの皮を被ったたくましい一匹の原始人がいた。
「(1日目に出会って以来だけど、これは色も大きさも違うなぁ)」
その個体はジャングルで遭遇した薄緑色の個体とは違い、ほんのりピンクがかっていてサイズも洗濯桶ぐらいあった。しかしフォールに迷いはない。インベントリから取り出した石斧でぺちぺち叩いて倒すと、スライムの死体を解体するのではなく、木の枝からクラフトした木製ストローを勢いよくぶっ刺す。
そしてフォールは迷いなくズズズッとスライムの中身を吸い上げる。
「(うわ~、スライムうめぇわぁ~!)」
味はほんのり桃の香りのするスポドリ風味。ゼリー飲料とこんにゃくゼリーの中間くらいの何とも言えない触感、程よい水気が喉を潤す。一回吸うごとに、人目がないので開き直り酒を飲むおっさんの様に「ぷはぁ」と息を吐くフォール。胡坐をかいてスライムを抱え込み中身を吸い上げる様はなかなか酷い絵面だったが、フォールのビジュアルのお陰でなんとか見ても大丈夫なレベルの絵面だった。
むしろ扇情的な格好も相まって、心が非常に汚れている大人にはズゾゾゾという吸い上げる音までセットなのでかなり卑猥な光景に見えたことだろう。
その間、フォールの“録画機能”は作動したままであることに、彼女は気づいていなかった。
◆
「っ!!皆さん、作業の手を止めてください」
フォール達が『Re:Develo』のアイドル、スライムに出会ったのは1日目のログアウト手前である。仮拠点の強化を終え、あとはどうでもいいようなことを話しながら資材集め。そんな折にスーチェが珍しく少し大きめの声をだした。
「え、敵?」
「どしたん?」
「なにかしら」
三者三様の反応を見せたフォール達は、スーチェの指さす先を見てキョトンとする。
「あれは、スライム?」
「はい。スライムです。正式にはジャングルバイオームに生息するスライムの一種、『デメテルスライム』ですね」
木の陰に隠れもしゃもしゃと草を食むのは薄緑色の饅頭型水風船。半透明のボディはつるんとしており、変な置物にも見えなくはない。
「エーテさん、あれを仕留めてください。石をぶつければ問題ありません」
「おっけー!任せて!」
スーチェの指示を受けたエーテはインベントリから尖った小さな石を取り出す。それをギュッと握ると、ソフトボールの投球フォームで全力で投擲。スライムのど真ん中に命中し、スライムはぐったりとする。一度に生命力の半分以上を損なうと発生する『気絶』状態に陥ったのだ。あとはそれを4人がかりでポコポコ叩けば、スライムはあっという間に死んでしまう。
「じゃあ、解体するね!」
そしていつも通り、石斧を振りかぶりエーテが死体を解体しようとすると、スーチェからまったが入る。
「解体はしなくて大丈夫です。スライムは解体スキルや専用の道具などがないと解体できない特殊なエネミーな様なので」
「だったらどうするの?倒しただけ?」
エーテは解体係として活躍できずモヤモヤするのか、斧でツンツンとスライムの死体を突っつく。
「いえ、それ以上にスライムは非常に有用な効果を持っています」
スーチェはおもむろにインベントリから木の枝を取り出すと、知識ポイントを使って製作できる道具の数を増やし『木製ストロー』をクラフト。しゃがみ込んでそのストローをおもむろにスライムにぶっ刺す。そしてストローに吸い付き、中身をジュルジュルと吸い上げる。ス―チェがしゃがみ込んだ瞬間、膝で圧迫された2つの双丘を見て「スライムが3つある」などとくだらないことをフォールは考えていたが、その考えも一瞬で吹っ飛ぶ。
スーチェのいきなりの謎の行動にポカーンとする3人。クールなウィノウでさえもスーチェの行動には呆気に取られていた。
スーチェはそのまま吸い上げた物をゴクゴクと飲み干し、ぷはっ、と一息。フォールの中の小さいおっさんは「なんか凄くエロい」とスーチェを高く評価する。
「『Re:Develo』におけるスライムは全バイオームで出現する『この世界に於いての唯一の救済措置』と呼ばれる存在なんです。個体数は比較的多く、攻撃力は0、感知能力が低いので近づいてもすぐ逃げられてしまうこともない。Lv1のプレイヤーでもどう頑張っても負けない存在なんです。そしてスライムは多くの水分と栄養を蓄えています。言い換えれば転がる栄養袋なんです」
それを聞いて、フォール達もスーチェがなぜスライムを救済措置と呼んだか理解する。『Re:Develo』では食事も水分も摂取しなければ餓死と渇水で死んでしまう。しかし綺麗な水は早々手に入れられることはなく、食べれそうな物も不明ときている。そんな世界に於いて、スライムは安全な水と栄養の供給源なのだ。柵で囲っておけば逃げる心配もないので非常食としても優秀ときている。
『Re:Develo』に於いてはスライムは非常にありがたい存在なのだ。
飲むときの絵面にさえ目を瞑れば、の話だが。
「皆さんもどうぞ。結構おいしいですよ」
スーチェは新しく3本のストローをクラフトすると、ブスブスとスライムに突き刺す。フォール達はそれとなく目配せをしあい、膝を寄せ合ってスライムを囲むように座り込む。誰からトライするか、フォールとエーテ、ウィノウの視線が激しく交錯。やがて結論がでたのか、意を決して今回はウィノウがトップバッターを務める。お嬢様の手本みたいな雰囲気のウィノウが痴女スタイルでスライムを吸い上げる図は、何とも言えない背徳感を感じさせる。フォールが「変態には高く売れそうな映像だ」と考えてることは露知らず、ウィノウはチュルチュルと音を立てずに上品に吸い上げると、ほぅ、とため息をつく。
「確かに美味しいわね。スポーツドリンク風味の柔らかめのこんにゃくゼリー、と言えばいいのかしら。ほのかに甘くて、ツルツルしていてのど越しもいいわよ。おやつとして売っていても不思議ではないわね」
其れを聞いて、フォールもエーテも我先にとストローに吸い付く。出来るだけ音が出ない様に気を使っていたスーチェとウィノウとは対照的に、フォールとエーテはズズズズズズッ!と勢いよく吸い上げてゴクゴクと飲み干す。
「うまぁ!」
「おいしいねっ!」
ぷはあ!と荒々しく息を吐き、スライムゼリーを飲んだフォールとエーテは実にいい笑顔をする。
なんせ『Re:Develo』で食べられる物の殆どが全く味がしないのだ。確かに生肉を塩胡椒もせずにかじり付くのはなかなかハードルが高い。それぐらいならば味のないスルメでもかじる様なほうがまだ食べやすい。
食べれる野草も本来は生で食べたりする物では無い。茹でて灰汁抜きすればまだしもそのままかじったらとても苦い。だから味がほとんどない。
しかしだ、例えば目の覚める様な鮮やか色彩の熟れたバナナを齧ってみて味がしなかったらどうだろうか。普通の果実までも味がないとだんだん食べることに対するモチベーションが下がっていくのだ。
実は料理スキル持ちが手を加えれば、食事にバフ効果と味がつくのだがその効果はまだ見つかっていない。その理由はとてもシンプル。生きるのに精一杯過ぎてそんな物にスキルポイントを割り振る余裕がないからだ。
それに加えて料理の為の鍋とか他の道具も必要になるとなれば、現状のプレイヤー達では到底無理な話だった。
そんな食事事情まで鬼畜な『Re:Develo』に於いて、スライムは簡単に手に入る“味のある”食料なのだ。おやつ感覚でいくらでも飲めるのもあって、序盤では色々な面で最高の食料なのである。(実際βテストでもいろいろな人の支援を受けてスライム牧場を作っていた人もいたほどだ)
βテスター達が言うには、バイオーム毎に出現するスライムは違い、味も若干異なるという。殺伐とした食事事情の中の唯一の光明。いつかジャングルバイオームから出ることがあったら、他バイオームのスライムも飲んでみたいな〜、とエーテは笑う。
しかしジャングルバイオームは広い。それは当分先の話だね、とフォール達は笑いあっていたのだった。
(´・ω・`)スライムは飲み物。古事記にもそう書いてある