ラピア
しかし、2つの強大なエネルギー体は何一つ破壊することなく露と消えた。
「?」
「もういい!私がやる!」
「ぐおああああああああああああ!!!!!」
「ピギャアアアアアアアアアアアアアーーーーーー!!!!!!!」
カティアの念動力による圧力で、1人と1羽は圧死した。
「す、すごい。カティアさん!助かりました。」
「ダラダラと戦いを長引かせやがって!このへっぽこが!」
「面目ない。1対1ならなんとか出来たんですがね。」
「言い訳するな!次、あんな戦いをしたらキ○タマを握りつぶすぞ。」
「す、すみません。」
「セイバーズのお荷物めが!」
カティアはそう言いつつ、川上の火傷に手を添えた。
すると、川上の火傷は跡形もなく消えた。
「ありがとうございます。」
「足手まといめ。」
「…」
どうやら、カティアにはツンデレの素質があるようだ。
「とりあえず、基地へ戻るぞ。」
「はい。」
「今日は、3体も抹殺出来たのだから良しとしよう。まあ、全部私の手柄だがな。」
「力になれず、すみません。次こそは結果を出します。」
カティアは川上を睨み付けた。
「出来もしないことを、軽々しく口にするな。薄っぺらく感じるぞ。」
「…っ」
川上は返す言葉もなかった。
「まあいい。明日から追加メンバーが来るからな。」
「!」
「今後はそいつに期待するとしよう。」
基地
「オマエら。さっさと寝ろよ?ただでさえ弱いってのに、寝不足だと目も当てられないぜ。」
「はい…おやすみなさい。」
「…おやすみ。」
〈…これからどうしよう。ミキさんは、俺に伸びしろがあると言ってくれたけど…………〉
〈さくらんぼちゃんやカティアさんは、本当に強いと思う。俺なんて、特殊な力もない上に、肉弾戦も飛び抜けて強いわけじゃない。〉
〈こんな俺でも、ちょっと前まで自分のことを、世界で一番強いと思っていた。〉
〈だけど、それは俺の思い上がりだった。俺は凡百な男だったんだ。〉
〈…………〉
翌朝
「…」
さくらんぼが、川上の部屋の前に佇んでいた。
「お、おはよう。」
「おはよう。」
「とりあえず、飯でも食べようか。」
「そうする。」
食堂
「いや~。これだけ食べても2000円ってすごいなあ。」
「すこし、たりない。」
「えっ?あれ?2500円?」
「…」
「ちくしょー!いつの間に値上げしたんだ。」
「さいれんとねあげ。」
「君たちがセイバーズだね?」
2人の前に男が現れた。
銀髪で長身のそこそこハンサムな男だった。
「そうですけど…」
「僕の名前はラピア。27歳、みずがめ座。よろしく。」
〈なんでこの人、星座まで言うんだろ。〉
「俺は川上卓郎。25歳、てんびん座。よろしくお願いします。」
「さくらんぼ。16、おとめ座。よろしく。」
「卓郎、さくらんぼ。彼がセイバーズの新メンバーよ。」
「あっ、ミキさん。おはようございます。」
「おはよう。卓郎、さくらんぼ。」
「おはよう。」
「ラピアは今朝、カティアがテレポートで連れてきたのよ。」
「ああ。そう言えば、昨日カティアさんが追加メンバーが来るって言ってたなあ。」
「ちなみに、カティアは例の如く、テレポ疲れでぐっすり寝ているわ。」
「では、本日はミキさんも一緒に来てくれるんですか?」
「いいえ。ラピアがいるからその必要はないわ。」
「きっぱり断られた…つ、冷たい。」
「私は機械だから当たり前でしょ。」
「そんなあ。」
「ふふ。冗談よ。3人とも、気を付けるのよ。」
「はい!」
「では、早速行こうか。」
砂漠地帯
「ここで厄介な敵と戦ったんですよ。カティアさんがいなければ、死んでいたかもしれません。」
「へえ。なかなかスリリングな場所のようだね。」
「でも、ラピアさんがいるから心強いですよ。」
「そこまで期待されると困っちゃうなあ。」
3人は砂漠地帯を抜けて森の入り口に到着した。
「ここまで、人っ子一人いなかったな。」
「だが、この森には何かがいそうだな。2人とも、気を抜くなよ!」
ラピアが2人に声をかけた。
「はい!」
3人は森に足を踏み入れた。
「うーむ、人の気配は感じないな。」
「ぐあっ」
ラピアが声を上げた。
「大丈夫ですか?」
ラピアの腕には、生々しい切り傷があった。
「一体どこから攻撃を?」
〈こんな時にカティアさんがいれば…いや、だめだ。こんな弱気では、カティアさんに大事な所を破壊されてしまう!〉
川上は覚悟を決めた。
「!!」
突然!3人の足元からツタが現れ、一瞬にして川上たちは拘束されてしまった。
「ぐおおおおおおおおお!!!!!!」
川上は、力技でツタを外そうとしたが、無駄だった。
ガチガチに縛り上げたツタの上から、更に何重にもツタが絡みついていた。
ビッ
何かが川上の顔を横切った。
「うっ」
川上の頬に傷が付いた。
「なんだ?」
謎の物体が飛んで行った方向をよく見ると、カマキリが3人に向かって威嚇のポーズをとっていた。
「これは…アイツの仕業か!」
「あんな虫けらに翻弄されるとはね。」
「フロストミサイル!」
ラピアが仕掛ける。
と○がりコーンサイズの氷柱が、カマキリに向かって発射された。
しかし、氷のミサイルがカマキリに届くことはなかった。
「くそっ、全て叩き落とされたか。」
カマキリはツタを自在に操り、ミサイルから身を守った。
「ぐあああああっ!」
カマキリは、ラピアを拘束しているツタを更に強く絞めつけた。
「くっ…」
〈ラピアさんの飛び道具も通用しない、さくらんぼちゃんも首飾りを外せないから、石化させることも出来ない。〉
「万事休すか。」
川上は今度こそ死を覚悟した。
しかし
「さくらんぼ☆くりすたるれんずすないぱー」
さくらんぼの、両目から発射された極細レーザーによって、カマキリは木っ端微塵になった。
同時にツタの拘束も弛み、3人は解放された。
「さくらんぼちゃん。ありがとう。」
「助かったよ。さくらんぼ。」
「れいにはおよばん。」
「…カティアさんのモノマネ?」
「しかし、あんな技を隠し持っているとはね。」
「きのう、できるようになった。」
「これが成長期ってやつか。10代の底力は恐ろしい…」
ぬっ
3人の前に熊が現れた。