カティアの実力
「む!応援の要請だ。オマエら、テレポートするぞ!」
ディクテイターの管轄エリア内の砂漠地帯
「これは…」
「時すでに遅し、か。」
自軍の機械兵たちが見るも無残な姿になっていた。
「戦車部隊までも全滅か。それなりにやるみたいだな。」
「ところでカティアさん。今のテレポートで、体力を消耗していませんか?」
「ふっ、短い距離だったから問題はないぜ。」
「よかった~。」
「それより2人とも、前を見ろ。」
3人の前に男が現れた。
「次はお前たちにも死んでもらう。」
男は、砂を川上に向けて高速で飛ばしてきた。
「ぐっ!くそっ」
川上はかわしきれず、目に砂が入ってしまった。
「…」
さくらんぼが首飾りを外し、男を睨み付けた。
「ガン飛ばしてるんじゃねーよ。そんなので俺がビビるとでも思ってんのか?」
男はさくらんぼに砂を飛ばしてきた。今度はさっきのよりもかなり速い。
「うー」
さくらんぼまで砂の餌食になってしまった。
「お前ら、まとめて生き埋めにしてやる。」
3人に大量の砂が襲い掛かる。
川上は痛みをこらえながら、無理やり目を開いた。
「なんだこれ…」
川上が目にしたのは、巨大な砂の壁。
「終わりだ。」
3人は多量の砂に飲み込まれてしまった。
「あっけない連中だ。」
「オマエら、だらしがないぞ!」
3人はカティアが作り出したバリアによって保護されていた。
「本体は地中か。引きこもりめが。」
カティアがそう呟くと
「あああああああああああー!!!!!!」
地中から悲鳴が沸き上がった。
「抹殺完了。」
「一体何が起こったんだ…」
「いいか?オマエたちが見ていたのは蜃気楼のようなものだ。」
「はあ。」
「本体は地中に潜み、砂を操って私たちを攻撃してたってことさ。」
「なるほど。道理で、さくらんぼちゃんの石化攻撃が効かなかったのか。」
「ああ。ちなみに、私は最初から本体の位置を把握していたがな。」
「流石カティアさん。」
「オマエら、ちょっと来い。」
カティアが手招きをする。
「じっとしてろ。」
カティアが腕を伸ばし、川上とさくらんぼの顔の前に掌を近づけた。
「目の違和感が消えた…これもカティアさんが?」
「ああ。」
「ありがとうございます。」
「ありがとう。」
「礼には及ばん。」
「しかし、本当にカティアさんがいると頼もしいですね。さっきも、カティアさんがいなければ、為す術もなくやられてましたよ。」
「ふん。オマエたちもまだまだだな。」
「…」
「前方に敵がいるぞ。」
「それなら、今度は俺が倒してみせますよ。」
「いいぜ。ただし、グダグダやってるとオマエごと抹殺してしまうぞ。」
カティアの目はマジだった。
男が3人の前に現れた。
肩には鷲が止まっていた。
「こいよ。」
川上は身構えた。
「バーニングアドラー!」
男の肩に止まっていた鷲が、炎を体に纏って突っ込んできた。
川上は、それをある程度引き付けてサイドステップでかわす。
しかし、鷲は野球のカットボールのように、鋭く切り込む軌道で川上に襲い掛かった。
「ぐあっ」
川上は、かわしきれずにまともに喰らった。
「ぐっ」
川上の肌は焼け爛れていた。
「なるほど。あの鷲も生体兵器なのか。」
「けっこうてごわい。」
カティアとさくらんぼは、呑気に観戦していた。
「!」
男が突っ込んできて川上を殴りつけた。
「うっ」
川上は、不意を突かれて殴り飛ばされた。
「くっ…こいつは中々のやり手だ。だが、さくらんぼちゃんよりパワーもスピードも劣るようだな。」
「バーニングフェザーシュート!」
上空から鷲の攻撃が降り注ぐ。
川上は、近くにあった岩石を持ち上げて攻撃を防ぐ。
すると、男がすかさず距離を詰め、がら空きの胴体に殴りかかる。
「ふんっ。」
川上は、男の顔面を蹴り上げた。
「我ながら見事なカウンターだ。」
川上は自画自賛をした。
「トリプルバーニングアドラー!」
またも、上空から鷲が仕掛けてきた。
川上は必至でかわす。
しかし、本体の突進はかわしきれず、更にダメージを負ってしまう。
「ぬうう…」
「お遊びは終わりだ。」
男がそう言うと、上空に球体が出現した。
それは真っ赤な炎に包まれ、川上に向けて高速で飛来してきた。
「ウインドブラスター!」
それと同時に、鷲がとてつもない規模の暴風を巻き起こす。
川上は死を覚悟した。