つよきもの、さくらんぼ。
翌日
「卓郎、さくらんぼ、おはよう!」
「おはようございます。」
「おはよう。」
「卓郎。体の調子はどう?」
「はい。大分良くなりました。ほんのちょっと違和感があるくらいです。」
「そう。それはよかったわ。」
「タフさがウリですから。」
「2人とも、今日は朝食を食べたら実戦訓練をするわよ。」
「実戦訓練ですか。」
「30分後に広場に集合よ。」
「了解。」
食堂
「へぇ~、ビュッフェ式かあ。……選り取り見取りだな。」
10分後
「グフッ。流石に食いすぎたな。」
「くるしい。」
「さくらんぼちゃんも沢山食べたね。しかし、これだけ食べて2000円ってすごいよなあ!」
「さて、少し休んだら広場へ行こうか。」
「うん。」
広場
「来たわね。今から2人で戦ってもらうわよ。」
「え?俺たちが戦うんですか?」
「そうよ。実力が近い者同士で戦って、レベルアップを図るのよ。」
「てかげんむよう。」
さくらんぼが川上の前に立ちはだかった
「やる気満々だねえ。さくらんぼちゃん。」
「卓郎。気を抜かないように。かわいい見た目だけど、さくらんぼの体にも超古代人の血が流れているということを忘れないで。」
「分かっています。」
先手必勝。川上はさくらんぼのボディに、パンチを繰り出した。
「ぐはっ」
しかし、さくらんぼに軽くいなされ、蹴りを喰らって川上は吹っ飛ばされてしまった。
「ぐぼぉ!カハッ!」
〈なんだこの子……強すぎる。下手したら昨日の電撃男よりも…〉
しかし、川上も食らいつく。
「うおお!」
川上は、さくらんぼと組み合った。
しかし…
「ぐぬぬ。」
川上は、あっけなく組み伏せられてしまった。
「あらら。さくらんぼは、ああ見えてとんでもない怪力の持ち主だったようね。卓郎より力持ちとは、思わなかったわ。」
訓練は昼過ぎまで続いたが、川上は一度たりとも、さくらんぼに勝つことは出来なかった。
「ぜぇ、はぁ、なんてこった。これじゃあ俺はさくらんぼちゃんの、完全下位互換だよ。」
「そう気を落とさないで。あなたには、まだまだ可能性があるのよ。若いから。」
「ミキさん…ありがとう。」
「さあ。昼食を食べたら、午後も訓練をするわよ。」
「はい!」
この日は、夜までぶっ続けで実戦訓練をしたが、川上はさくらんぼに勝つことは疎か、
キズ一つ付けることさえ出来なかった。
「はあ。疲れた。」
川上はすっかりくたびれていた。
「…………」
一方でさくらんぼは、涼しい顔をしていた。
「2人ともお疲れ。卓郎、流石に堪えたみたいね。」
「そりゃあ、あんな化け物と一日中戦えば、こうなりますよ。」
「ばけもの…」
「ごっごめん!さくらんぼちゃん。流石に化け物ってのは、言い過ぎたよねっ。」
「わたしがばけもの?ちがう…わたしはあくまだ。」
「?」
「2人とも、明日も訓練の予定だから、今日はもう休みなさい。」
「あ、明日もですか!?」
「当然よ。」
「とほほ…………」
翌日
「たくろう。ぐっもーにんぐ。」
「おはよう。さくらんぼちゃん。」
「うっす。」
「あ、カティアさん。おはようございます。」
「おう。今日から私も復帰するからな。」
「もう体力は回復したんですか?」
「バッチリだ。」
「あら。カティア、もう体は大丈夫なの?」
「ミキ。今日は私とこいつらの3人で、ディクテイターに攻め込むつもりだ。」
「そう。今日は実戦訓練の予定だったけど、まあいいわ。あなたが復帰するなら、心配は要らないわね。」
「ああ。任せとけ。」
「じゃあ、私は元の所属部隊に戻るわね。」
「ミキさんとは、ここでお別れか。」
「そうね。」
「短い間でしたが、お世話になりました。」
「ふふ。私は何も、お手伝い出来なかったわね。」
「そんなことないですよ。ミキさんがいてくれて心強かったです。」
「…卓郎、さくらんぼ。戦場では一瞬の油断が命取りよ。肝に銘じておきなさい。」
「了解。」
「さっ、別れの挨拶も済んだことだし、とっとと行くぞ、オマエたち。」
「はい!」
ミュー国 ディクテイターの管轄エリア
「いいか?ミキも言ってたが、敵地では全方位に気を配ること。」
「了解。」
「そうだ!私たちの小隊の名前を決めておかないか?」
「確かに。名前がないのは寂しいですね。」
「セイバーズってのはどうだ?」
「なかなかいいですね。ちなみに、チーム名の由来は?」
「フィーリングだ!」
「そ、そうですか。」