ゴルゴンの瞳
3人が歩いていると再び敵兵が姿を現した
筋骨隆々の男だった
「さて、今度はさくらんぼのお手並み拝見といきましょうか。」
「いえ。俺が行きます。女の子に先陣を切らせるわけにはいきませんから。」
「男らしいわね。だけど充分気を付けるのよ。」
「はい!」
まずは様子見で石を投げつけてみる
男はなんなくそれをかわした
「さっきの奴よりは強いようだな。」
川上は一瞬で距離を詰めて男に殴りかかった
「ぐふぅ!」
しかし男の放電攻撃によって川上は感電してしまった
「ぐわぼほぉっ!!!」
そして川上は身動きが取れないまま男の強烈なタックルをまともに喰らい吹っ飛ばされてしまった
「卓郎!さくらんぼ、卓郎を援護するわよ!」
ミキが声をかけるとさくらんぼは男に向かって歩き出した
おもむろに首飾りを外し男を射抜くように睨み付けた
すると男の体は一瞬のうちに石化し動かなくなった
「!」
「さくらんぼ。あなたがやったの?」
「わたしのちから。」
さくらんぼは首飾りをつけながら答えた
「た、たいしたもんだ。」
「ゼェ…ゼェ…まさか、さくらんぼちゃんに助けられるとはね。」
「俺より強いってのは本当だったようだ。」
「卓郎!大丈夫か!?」
「ええ。なんとか。」
「とりあえず、今日のところは引き上げるわよ。」
「どうしてですか?敵の本拠地はまだ先ですよね?」
「今のあなたはとても戦える状態じゃないわ。」
「ぐっ…確かにこれほど身体が痛むのは初めてかもしれない。」
「今日はディクテイターの兵を2体も倒すことが出来たわ。それで充分よ。」
「えっ?そんなもんでいいんですか?」
「生体兵器の数はさほど多くはないはずよ。20年間で作ることが出来る数なんて、たかが知れてるわ。」
「それに、もともと今日の目的はあなたたちの力量を測ることだったから、本格的な活動はカティアが復帰してからよ。」
「なるほど。」
「あなたとさくらんぼとカティアが組めば敵なしよ。」
〈それにしても、さくらんぼの力は予想以上だったわ。結局、私の出る幕もなかったし、これは思わぬ収穫ね。〉
しばらく歩き続け
「ここが私たちの基地よ。カティアもここで休んでいるわ。」
「へぇー。立派な建物ですねえ。」
川上が勤務していた会社の数倍は大きい建物だった
敷地内には戦車やヘリコプターがずらっと並んでいる
「ここには機械の兵士たちが待機しているわ。ちなみに私もそのうちの1人なのよ。」
「え!?ミキさんロボットだったんですか?」
「そうよ。こう見えて私は、一般的な成人男性の何倍も強いのよ。」
「ほえー。」
「私たちの組織の軍は、機械兵とあなたたち超古代人の末裔で構成されているのよ。」
「機械の兵ですか。じつに頼もしい。」
「さて、卓郎。あなたはかなりのダメージを受けているようだから、ゆっくり休みなさい。」
「そうします。」
「さくらんぼも早く寝るのよ。」
「うん。」
川上とさくらんぼに個室が用意された
「なかなかいい所だな。トイレにはウォッシュレットがあるし、シャワーの勢いも申し分ない。」
「…………」
〈今日出会ったあの男……あいつの電撃は昔、俺に直撃した雷よりも強烈だった。それにあのタックルも凄まじいものだった。身体中がズキンズキン痛む。昔、トラックに吹っ飛ばされた時でさえピンピンしていたのに。〉
「とんでもねー所に来てしまった……」
川上は久しぶりに頭を抱えた