サラマンダー
「なんだ?あいつ。」
「あれは敵の兵隊よ。」
「あれがですか。」
男の見た目は10代後半くらい
体つきは細く強そうに見えない
ましてや兵隊にはとても見えない
「生体兵器が作られ始めたのは約20年前よ。だから10代の個体が多いの。」
「なるほど。」
「でも油断しないで。彼らはまぎれもない強者よ。」
「了解。」
「危なくなったら私とさくらんぼも加勢するわね。」
「頼もしい限りです。」
「さて、卓郎。あなたのお手並み拝見といきましょうか。」
「ふう。ふう。」
川上は呼吸を整える
そして相手の出方を窺うことにした
男は両手を胸の前に出して粘土をこねるような動作をした
するとオレンジ色の球体が発生し龍の形に形成されていく
「サラマンダー!」
男の掛け声とともに炎が放出される
スピードはあったが直線的な軌道だったので川上はそれをかわすことが出来た
「危なかった。」
「サプライズウォーター!」
「うおっ」
川上の足元からいきなり水が噴出し川上は上空へ吹っ飛ばされた
「ふう。今の攻撃はかわせなかったが、どうやらパワー不足のようだな。」
川上はほとんどダメージを受けていなかった
「今度はこっちの番だ!」
川上は一気に距離を詰めて男に殴りかかった
すると男はあっけなく殴り飛ばされた
「いいぞ!卓郎!」
男はふらふらと立ち上がり再び両手で粘土をこねるような動作を始めた
しかし
「遅い。」
川上の蹴りが炸裂し男はノックアウトされた
「なかなかやるわね卓郎。初陣にしては上出来だったわよ。」
「いえ。相手が弱かっただけです。」
「あら。謙遜しなくてもいいわよ。」
「実際、水の攻撃は威力不足でしたし、炎の攻撃は隙だらけでした。」
「別に炎なんて龍の形にしなくてもそのまま放出すればいいのに。」
川上は悪態をついた
「卓郎。冷静な分析ね。さくらんぼ、さっきの戦いを見てどう思った?」
「まあまあ。わたしのほうがつよい。」
これまで空気だったさくらんぼが口を開いた
「!」
「ずいぶん強気に出たわね。」
「まあ、さくらんぼちゃんの力は未知数ですからね。」
「あなた、とことん冷静ね。」