表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セイバーズ!  作者: 津る
2/25

勧誘

「あれだけやられてたのに本当に大丈夫なのですか?結構吐いてらっしゃいましたし。」


「平気だよ。嘔吐は私のお家芸だからね。」


「ん?」


川上はこのおばあさんに見覚えがあった


「もしかしてゲロばあちゃんですか?」


「いかにも。」


川上はおじいさんの方を見た


このおじいさんもどこかで見た気がする


「もしかして多汗じいちゃんですか?」


「うむ」


この老人2人は夫婦でありお笑い芸人である

嘔吐芸がウリのゲロばあちゃんと滝汗芸がウリの多汗じいちゃんによる夫婦お笑いコンビ

コンビ名は『老廃物』

芸が芸だけにゴールデンはおろか深夜番組でも滅多にお目にかかれない

昨年のテレビ出演本数は0


「どうしてお2人がここに?」


「ワシらはお前さんをテストするため、仕掛け人としてここへ来た。」


「テスト?」


「簡単に言うとお前さんがまともな人間かどうかを確かめるためのテストだ。」


話が見えてこない


「一体、何のためにそんな事を?」


「それは私が説明するわ。」


声の方を振り返るといつの間にか川上の背後にいたスーツ姿の若い女性が話を始めた


「私の名前はミキ。卓郎、あなたの力を貸してほしいの。」


「俺の力?」


「ええ、あなたのことを調べていたのよ。」


「具体的に俺の何を調べていたんですか?」


「あなたの驚異的な身体能力についてよ。」


「何のことです?」


「とぼけても無駄よ。」


「少し前に新聞に掲載されていた、クマを撃退した青年の記事を読んであなたの存在に辿り着いたの。」


「ああ。それで近所で有名になっちゃって引っ越す羽目になったんですよ。」


「なるほどね。それでこんな辺鄙な場所に住んでいるのね。」


「そういうことです。」


「話を戻すわね。その新聞記事を読んでからあなたについて情報収集を始めたの。」


「はあ。」


「そして20年前の交通事故と、14年前の落雷事故の記事を発見したの。どちらもあなたが被害に遭った事故だった。」


「そういえばそんなこともあったなあ。」


「だけど、驚くべきことにあなたはこれだけの大事故に遭いながらほとんど無傷だったと記述されていたの。どう考えても普通じゃないわよね。」


「…………」


「超古代人という言葉を聞いた事があるかしら?」


「超古代人?」


「超古代人は、恐竜たちが生息していた時代よりももっと昔にこの星に存在していたらしいの。」


「へえー。」


「あなたは超古代人の末裔なのよ。」


「え?」


「さっきのあなたの動きと過去のデータに基づいて判断をすると、あなたは間違いなく超古代人の性質を持っているわ。」


「…………そこまで調べられては言い逃れは出来ませんね。正直言って超古代人については初耳ですが。」


「俺は周りの人間よりはるかに強い。」


「それだけは間違いありません。」


「では本題に入るわ。」


「あ!ちょっと待ってください!」


「なにかしら」


「さっきの若者たちは大丈夫なのですか?仕掛け人とは知らずにきついお仕置きをしてしまったのですが。」


「心配ないわ。彼らはロボットなのよ。」


倒れた若者をよく見ると機械部分が露出していた


「よかった。前科がつかずに済みそうだ。」


「もういいかしら?本題に入るわよ。」


「はい。」


「現在、超古代人の子孫はこの星に数百人いると考えられているの。」


「へえ。俺の他にもそういう人間がいるとは。」


「彼らの存在が明るみになっていないのは単純に数が少ない事と、力を持っているがゆえに目立たないよう生活しているからなのよ。」


「なるほど。」


「だけど超古代人の存在を知り、その遺伝子に目を付けた人物が現れたの。」


「うっ。嫌な予感。」


「その人物はディクテイターという組織を立ち上げ、超古代人のDNAを採取してクローンを作り出したり、改良型を作り出して軍隊を編成していることが分かったの。」


「なんだか、やばそうですね。」


「今は準備期間のようだけど、早めに潰さないと厄介な事になるわ。」


「そこで俺の力を借りたいということですね。」


「ええ。私たちの組織も、超古代人の力を持つ人材を集めてディクテイターに対抗しているの。」


「俺、格闘技の経験どころか喧嘩すらしたことがないんですが。」


「まあ、強要はしないけれど。実際何人かにお断りされたこともあるわ。」


「そうですか。だけど事情を知った以上、協力しない手はありませんね。」


「ありがとう。男らしい決断力ね。」


「はは。照れますね。」


「ディクテイターの本拠地はミューという国にあるわ。ここのちょうど反対側の場所よ。」


「えっ、めちゃくちゃ遠いですね。」


「ええ。数万キロは離れているわね。」


「で、いつ出発ですか?」


「なるべく早い方がいいわ。3日後には出発出来るかしら?」


「わ、わかりました。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ