刺客
川上が買い物から帰ってくると、自宅の前に少女が立っていた。
〈こんな辺鄙な場所に女の子?怪しい…〉
次の瞬間!
少女の首が180°回転し、川上と目が合った。
「うおお!」
「見つけた。」
川上が怯んだ隙に、少女は距離を詰め、川上を殴り飛ばした。
「ぐぼっ!」
そのその威力は凄まじく、川上は地に膝をついた。
「こいつ…ディクテイターの残党か…」
「サラマンダー!」
少女はノーモーションで炎を射出した。
〈速い!〉
「だがその技は知っている!」
川上はギリギリでかわした。
「サプライズウォーター!」
「うあっ!」
川上の足元から水が噴き出し、川上は空を舞う。
「ベアーズロック!」
熊の手の形をした岩石が空中に現れ、川上へ向かって超高速で飛来する。
「ごばぁ!!!!」
当然かわせるはずもなく、岩石が直撃し川上は地面に叩き付けられた。
「バーニングアドラー!」
「くっ!」
川上は必至でかわす。
「プラントスマッシュ!」
ツタによる強烈な殴打。
これはかわしきれず吹っ飛ばされる。
「くそっ…強すぎる。」
「仕方がない。俺の家も巻き添えを喰らうだろうが…」
「!?」
突然、辺りが暗くなる。
「ふっ、ここらは人が住んでいないから遠慮なくいけるぜ!」
「喰らえ!化け物!」
直径数十mの隕石が2人の頭上に現れた。
「ギガンティックエナジーブレイカー!」
少女は莫大なエネルギーを放出し、隕石を粉々に砕いた。
「…え?」
「ゴーストゼリー!」
「うぬぅ…体が動かせない。」
呆気に取られていた川上は、モロに喰らってしまった。
「とどめだ。」
「っ!」
「…………」
「?」
少女の動きが止まった。
「なんだ?」
少女は微動だにしない。瞬きすらしていない。
「理由は分からんが、助かった。しかし…」
川上もまた身動きが出来なかった。
「いや、こいつ動けないフリをして俺をからかっているのかも…」