帰国
「ばかだね。君たちは。敵の死体も見ていないのに勝利を確信するには早いぞ?」
クシロは生きていた。全くの無傷で。
「化け物が。」
「流石。あんな怪物連中のリーダーをやっていただけのことはある。」
「誰も僕には敵わない。」
「僕が受けたダメージは、他の物に肩代わりしてもらうことが出来るんだ。」
「さっきの攻撃は僕の代わりに、この星に受けてもらった。」
「そうそう!こんなことも出来るんだ。」
クシロは足元の地面を殴りつけた。
「がはっ!!」
川上は吐血した。
「これが僕の能力だよ。」
「君たちは、うちの切り札を4人でやっとこさ倒したみたいだけど。」
「あいつでさえ、この僕には手も足も出なかったんだ。君たちでは僕を止めることは出来ないよ。」
「くそっ!こんな奴がいたとは!こんな化け物を倒せる奴がこの世にいるのだろうか…」
川上が呟いた。
すると、さくらんぼは「待ってました!」と言わんばかりに前に出る。
彼女の手には首飾りがあった。
最後の戦いが終わった。
「最後もさくらんぼちゃんに持っていかれたか。いやぁ~とんでもないチーターがいたもんだ。」
「? さくらんぼはチーターじゃなくて人間だろ?」
「カティアさん、チーターと言うのはですね…」
「ああ、なるほど。オマエと違ってオタク用語はわからんのだ。」
「しかし、さくらんぼがいなければ、みんなやられていたね。」
「だな。」
「ふふ。」
さくらんぼは、誇らしげな顔をしていた。
「…………」
〈俺だって隕石を落とせるんだけどね…〉
一時は場を盛り上げた川上も、もはや空気だった。
それほど、さくらんぼの力は強大なものであった。
「さあ、基地に戻るぞ。」
カティアは、3人をテレポートで基地へ連れて行った。
基地
4人はディクテイターの本拠地を潰し、リーダーを抹殺したことを本部に報告した。
翌日
「みんな、よくやったわ。」
「ミキさん。」
「危機は去ったわ。」
「今回の功績が認められて、あなたたちには報酬が支払われるわ。」
「各自、国に帰ったら確認しておきなさい。アッと驚く金額が口座に振り込まれているはずよ。」
「!」
「さっ、これで一先ずセイバーズは解散ね。あとは自由の身よ。」
「やったあ!」
「だけど、有事の際にはまた協力してもらえるかしら?」
「モチのロンです。」
「オマエら、私が国まで送るぜ。」
「ミキさん。さようなら。」
「さようなら。卓郎、さくらんぼ、カティア、ラピア。」
「本当にありがとう。」
アルファ
「ありがとうございます。カティアさん。」
「かてぃあ。ありがとう。」
「ああ、私も国に帰るぜ。後は歩いて帰りな。」
「さて、俺たちも家に帰ろうか。」
「たくろう。」
「ん?」
さくらんぼは川上に紙を手渡した。
紙には住所とメールアドレスが書いてあった。
「あそびにきて。」
「あ、ああ。近いうちにね。」
さくらんぼは走り去った。
「う~む。」
〈正直、さくらんぼちゃんは無口だから話すこともあまりないし、成人男性が未成年女性と交流をするのはあまりよくない気もするぞ…〉
川上は電車に乗った。
「おっと、寝過ごしてしまうところだった。」
自宅
「ほぇ~家に帰るのは久しぶりだなあ。」
2人はそれぞれ家路についた。
「そうだ。入金の確認をしておこう。」
「…………」
川上の銀行口座には、ひ孫の代まで遊んで暮らせるほどの大金が振り込まれていた。
「ふおぉ…俺の人生は安泰だ。」
川上は安心して眠りについた。




