冷凍パスタのシャリシャリ
「今日も長い1日だった。」
川上卓郎は今日も仕事を終えて帰路に就く
傍から見ると川上は普通の人間に見えるがそうではない
彼は強靭な肉体とずば抜けた身体能力を持つ
彼がその気になればその辺にある建物なんかは軽々飛び越えることが出来る
最近では近所に出没したクマを絞め落として近くの山に連行したこともあった
これほどの力を持っているが川上はその力を一切発揮することのない事務職に就いていた
プロスポーツ選手になろうと考えたこともあったが川上は目立つのは嫌だった
警官や消防士を目指すこともあったがプライベートでも気が抜けないのは面倒だという理由で断念した
「ただいま。」
川上はすぐさま手洗いうがいをした
「5分30秒。」
冷凍食品のパスタをレンジで温めている間に着替えを済ませる
ピーピーピー
ガチャ
バタン
「いただきます!」
川上はものすごい勢いでがっついた
シャリシャリ
「なんだよ~。真ん中がまだ凍ってるじゃ~ん!」
川上は文句を言いつつきれいさっぱりパスタを平らげた
そして川上はフローリングに寝そべってくつろぎ始めた
しばらくくつろいでいると外から騒がしい声が聞こえてきた
「…………」
川上は耳を澄ませた
若い男女がはしゃぐような声
耳障りな笑い声も聞こえてくる
もう11時過ぎなのに
川上は窓から外の様子をうかがう
窓の外およそ30m先に自販機の明かりに照らし出される人の姿があった
10~20代前半位の男女が数人いるようだった
「うるせーなぁ。この辺は家も無いのになんであんなにガキがいるんだよ。」
若者たちの中に夫婦らしき老人2人の姿もあった
「しかし、何をやってるんだあいつら。」
川上がじっと観察していると若者たちがおばあさんに何かを言った
するとおばあさんは地べたに仰向けになって寝ころんだ
すると若者の1人がおばあさんの両足を持ち上げて両脇に抱えた
なんだか嫌な予感がする
「うおらぁ!」
若者が掛け声を発しておばあさんの体を持ち上げた
「やめて、やめて!」
おばあさんは懇願したがその声は若者たちの笑い声にかき消された
そしてマリオ64のクッパのようにおばあさんは振り回された
「とんでもねーDQNだなあいつら。」
川上は家を飛び出し若者たちに接近した
おばあさんは回されすぎて気分が悪くなったのか嘔吐物を撒き散らしていた
若者たちはそれを見て狂ったように笑う
おじいさんは怒りわめいていたが若者の1人に羽交い絞めにされて身動きが出来ないようだった
川上は一番近くにいた若者を一瞬で絞め落とした
次におばあさんを振り回していた若者の肩をつかみ回転を止める
そのまま若者の肩の骨を砕きおばあさんを救出した
川上はあっけにとられている若者たちを次々とぶっ飛ばしていく
重傷だろうが死にはしないだろう
若者の中には女もいたが容赦なく顔面にビンタを喰らわせてやった
顎の骨が砕けたかな?
おじいさんを羽交い絞めにしていた若者はその光景を見て逃げ出したが
川上はすぐに回り込んでお仕置きをしてあげた
「ふう。おばあさん、大丈夫?」
「平気。」
おばあさんは何事もなかったかのように答えた