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からし菜の辛き身を思うつかり
からし菜を甘く見るな。からし菜は揉んで揉み込んであれだ。からし菜をみくびるな。
からし菜は辛いか? からし菜は辛くない。辛い汁は捨ててきたから、辛い筈がない。
からし菜はまずいか? いや、うまい。からし菜の塩で揉まれて染み込んだ味はご飯に抜群に合う。素朴で爽やかさが抜けるうまさだ。
からし菜を他のことに使うべきか? いやべきではない。からし菜の揉み漬けが理にかなっていて、最低限の調理で食べられるからだ。
からし菜を多く漬けれるか? 漬けれない。手の力加減と気力根気が必要だからだ。これを怠るものにはからし菜は漬けることは不可。
からし菜の食するに活を得ることを敬意を表して、手袋に収めてもからし菜の辛き汁に手を塗れ辛きことが薄まるまで揉み込むべし。
それこそがからし菜への手握の道である。