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兄は、まだ言った。
「僕は、同人誌愛好会に今も入っていて、漫画を描いている。
短編を好んで描いていたが、ある時、こんな話を聞いた。
全く僕と面識のない人が、小説家らしいんだ。
その人は、
活字の本は、面白かった!っていう印象より、何か教訓や生きるヒントを盛り込みたいと思っていたそうだ。
僕は、漫画だって、そういうのは沢山あると思っている。
話を戻すよ。
その小説家は、ある時、自身が思うくらいの長編を書いたんだ。
それを、後に、自身で読み返した時、ラストが今一つ納得のいくものではなかったらしい。
本人が言うから、本心なんだろう。
そして、もう一度、自身で読もうとしたら、長くて読むのが嫌になったらしいよ」
「自分で書いといて!?」
「間違いなく自分で書いていて、読み返すのが嫌だったのは、長編小説だったかららしい。」
「それで、その小説家は、その長編のラストが、今一つ、納得出来ないと言う……じゃあ、その小説は、その作者にとって、どういう位置付けなんだろうか?」
「ねぇ、あのさ、カワイイ弟よ…何でも結末が全てってわけではないと思えない…?」