兄の言い分。
「うーん、それは、それで魅力的だとして、もう最近、やはり、そういうのに…特に今は、なれなくてね……とにかく僕は今、バカとは関わりたくない気持ちで、いっぱいなんだ。
正直、疲れている。
変なことを知りすぎてね。
大都会で、とある団体が野良猫を捕まえて避妊手術をして、それが完了した猫は、方耳にキザミを入れられ、『もう、大丈夫だよ』ってさ……僕には、狂っているとしか思えないが、あちらは、それなりの信念で行っていて、行政も注意勧告をするわけではなく、僕も、『そういうことをしている人達が、いるんだ』ということを知り、それ以上は、何もしない。
止めようとしないのは、まず、僕に、『あれ、止めさせようよ!』と動く気持ちがなく、あの都会の猫に生まれなくて良かった、で、終わりだよ」
兄が、そう言った時、
俺は、
兄に、それでいいんだよ!と言えば良かったのだが、言葉が出ない。
男でも女でもいい。
誰かが、
「ある期間、本当に身を粉にし働いていました。」
それに対して、何かを言えないなら無力だろ?
「身を粉にして、働いていた」と、そんなこと言える人は沢山いない。
たった1日、休みなしで働いていました、とは全然、違う話だから。
今、少年少女の人も、いつしか、働き、休みが、ある時、外出するとする。
兄貴が、たまたま、そこの外出先に確かにいて、兄は、兄らしくいるだろう。
家族以外は、みんな他人なんだ、と。




