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社長と営業マン
とある時、とある一室で二人が話していた。
「いやー、もう本当に選手時代だった時の話せることなんて何もないんですがね…本当に、もう何もないように思えるんですが……あの頃、走ってた時、『何、クソー!』って思うことが多々あってですね、それを走りに込めると、フォームが乱れてしまうんですね…だから、フォームを崩さないように走ることに努める…ちゃんとしたフォームは体にキツいんですよ…そうしたら、また、キツさが体に振りかかってきて、それでも走ってたんですよ。
何なんですかね、本当に、あの頃の僕は……そうまでして、走ってたって、僕は、
僕は、……本当に走るのが好きだったんです。
…好きだったですね、走ることが…」