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僕は妻から聞いていた。
仕事は順調そのものだった。
忙しいことにも訳があった。
ある日、夜遅くに帰宅した僕は一人、台所で妻の手料理を電子レンジで温めて食べていた。
妻は一品を、僕が食べている、その時、調理して、それを手に持ち、食卓に加えると僕に、
「あのね…」と話始めた。
「あの子、やっぱり稀な病気で今は何ともないんだけど、今から、その症状が出てきそうなの……治療法は、あるの。
だから、それをすればいい、って話は、私たち何度も話し合い、もう前向きでしょ♪
今日ね、やっぱり凄く痛みを伴うかもしれないって聞いて動揺した私に先生が、そうはならないと思われる画期的な治療を、それとなく教えてくれたんだけど、それ、保険適応外で法外な費用なんだ…。
やっぱ、今の無し!!忘れて、忘れて♪」