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閑話2 ディートリヒ視点

私の名前はディートリヒ・シャル・ハイレント。この国の王太子である。

本日は婚約者であるシュナトリーゼの15歳の誕生日ということもあり学園を休み祝いに来ている。


シュナトリーゼは良く言えば自由気ままで自分の思ってることをしっかりと伝えることができる令嬢だ。

彼女の希望と侯爵家の要望もあり、私と婚約することになったが本音を言うとあのご令嬢は国母に向いていない。

綺麗な顔立ちをしているが、それだけでは国母は務まらない。顔よりも中身が重要なのである。

彼女のわがままは私にとってはかわいいものだが際限なく沸き、彼女が権力を有することになった際それでは困る。

どうにかして彼女を変えなければと思うのだが侯爵家は彼女を容認しており、私以外彼女を変えようとする者はいない。

彼女の従者がそれを行いそうな雰囲気はあるものの、所詮は従者だ。主人の命令は絶対であり、逆らうことはできない。

そんなことを考えていれば彼女の住む侯爵家の屋敷の前についたようだ。

本日はどのようなお願いをされるのだろうか。


結果から言うと何もなかった。

彼女に何があったかはわからないが普通の淑女として変わらぬ教養を見せてくれたのだ。

私の容姿は誰から見ても好まれる程度には整っている。彼女もそんなところが気に入ったのかずっと私に言い寄ってきていたのだが今日は違った。

あろうことか私の顔を見るなり、言い方は悪いが虫けらを見るような表情をして見せたのだ。

今までそのような視線を受けたことが無かったので新鮮だ。

私が彼女のことをほめても彼女の目は変わらず、澄んだエメラルドを宿したような目で見てくる。

いつもであれば喜び淑女にはあるまじき行動に出るのに今日はそんな姿は見られない。

私の言葉にも揺るがない精神を持つようになったのは何故なのか。

疑問が尽きない。

今日だけのことだろうか。それとも今後このようなことが続くのか。

とても気になるところである。


私にこのような思いを抱かせたのは彼女が初めてである。

私は幼いころから色々なことをさせられてきたが困ったことがない。

やればできることが大半で困るということが少ないのだ。

そのことから好意と言うより欲にまみれた目で見られることが多いのだ。

ご令嬢には婚約者がいるにも関わらず、言い寄られることが多い。

それなのにあんな目で見られたのは初めてのことである。

何が彼女を変えたのか。こんなに興味を抱かせるのは彼女が初めてだ。

私は彼女の婚約者だ。これからも彼女の行動は私がみれることになる。

彼女がどんな行動に出てくれるのか。私は彼女に対して興味がそそられるのを自覚しながら侯爵家を後にした。


彼の興味が好意へ変わるのはもう少し後の話。

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