表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2

鏡の前に座り髪を結ってもらってる間に状況を整理する。

水色の髪が少し癖を帯びて緩やかなカーブを描く。そしてエメラルドのような瞳。

見たことある姿だ。見間違うはずがない。

だってあんなに愛してやまないゲームのキャラなんだもの。

そしてカトレアの顔を見たときに入ってきたこの身体の記憶。

どう考えても私は「蝶よ、華よ。」の作品に出てくる悪役令嬢、シュナトリーゼ・ディ・ドールだ。

最近ラノベで流行っている異世界転生というものだろう。

でも、何故ヒロインにしてくれなかったのか。そこが悔やまれる。


この世界のヒロインはアマーリエ・ディ・ドール。私と同じ年の妹だ。

精霊のいとし子と言われ、全属性の魔法が使えるできた子。金色の髪を持ち、シュナトリーゼと同じエメラルドの瞳を持つ子。

シュナトリーゼのお母様とお父様は政略結婚。シュナトリーゼのお母様が病気で亡くなった後、お父様と大恋愛の末に結婚することになった平民の侍女であった養母様の連れ子である。


新しいストーリーを開始しますかではいを選んだ記憶まではある。

つまりここは新しいストーリーの中なのだろうか?

近々新しい隠しキャラが実装されるという噂が流れていたのでそのことであろうと思っていたのにそうではなかったのか。


にしても悪役令嬢か。

良くて幽閉。悪ければ国外追放の末病気で亡くなるなんて回避したい。

国外追放されるのはまだ良い。病気で亡くなるなんていやだ。

病気は確か隣国に追放された後、隣国で流行った病が原因だった。

この世界にはまだ衛生面に対して理解が進んでいなかったから起こった病だったから衛生面さえ気を付けていれば病にはならないだろう。

なら、私の目指す先は隣国への追放か。いや、このままお父様のいるこの国で静かに暮らしたい。

私の中にあるシュナトリーゼの記憶がそう言っている。


お母様とお父様の仲は良くなかったけれど、シュナトリーゼには優しくしてくれたお父様。

養母様が来ても変わらず愛情を注いでくれたお父様に誇れるシュナトリーゼでいたいという思いが私の中にはある。

シュナトリーゼの思いは私の思いでもある。

では、隣国へ追放されるエンドは迎えてはならない。

ヒロインであるアマーリエが誰とのエンドを迎えるかが問題である。

私は第三王子であるディートリヒ様の婚約者だ。ディートリヒ様は攻略キャラの一人である。

そのエンドに行かれると私は国外追放だ。

しかし、悪役令嬢にならなければ問題ないことだ。

アマーリエの様子を伺い、誰とのエンドに行きそうか考えながら悪役令嬢にならぬようアマーリエや攻略キャラと関わらないようにすればいい。

そうだ。何も悩む必要はない。


そんなことを考えている間に髪は結い終わったようだ。

今日から私はシュナトリーゼ・ディ・ドール。

お父様の名に恥じないシュナとして生きていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ