突然のメール申し訳ありません.
主人公は結城 勇君です.いつも通りの生活に飽きた青年Aです.
ふと,目が覚める.あれは中学校の頃だったろうか.
あの頃から,大した目標もなく,親の言われるままに偏差値に見合った高校や大学を選択して,のんびりとすごしてきた.
中学からやってた剣道では二段まで行けたけど,それが就職へのモチベーションに繋がるわけではなく,フリーターになってしまった.バイトから帰ったら就職にうるさい親から逃げるように自分の部屋に戻り,異世界小説を読んで,ゲームして,寝る.そんな生活を送っている.
どこにでもいそうで,誰の目にも止まっていないような生活を送っている.
メールには検索エンジンからのショッピングを勧めてくるようなものしか来ない.ラインでゲーム友達となんとか繋がっている.惰性で動いている…そんな生活だ.
正直つまらない人生をおくっているな,とは思うが,今更目標を持てない.流行りのユーチューバーになろうという気も起きないし,就職してもきっと惰性でパッとしない人生しか送れないと思う.
ああ,異世界小説みたいに突然転生とかしてチートスキルでばったばったと敵をなぎ倒すような刺激のある生活がしたい.そんなことを考えながら,バイトの帰りに買った新作のカップラーメンにお湯をいれる.
何か新作の小説やゲームでもないかな,ラインに何か連絡来てないかな?いつものように,スマホをのぞいてみるとメールが来ていた.
『結城 勇様
突然のメール申し訳ありません.
この度,お願いがありメールさせていただきました.
お願いというのは私の管理する世界にマモノが跋扈しており,魔王が現れてからというもの日に日に生物たちに悪影響を及ぼすばかり,どうか勇者になって世界を救ってくれませんか?
神より』
なんてふざけたメール,迷惑メールリストに入れてやろうかと思ったが,ふと新作ゲームの事前登録をしていたことを思い出した.もしかしてβ版のお誘いってやつか?試しに入ってみよう.ダメだったら消してやるだけ….
俺はとても軽い気持ちでURLを触った.