最大瞬間風速――ッ!?
【真の地獄】
――衝撃的だった。 こんなクソみたいな展開。
ギャルゲをやっていて、エー子ちゃんルートを攻略しようと始めていた。
しかし――エー子ちゃんの友人であるビー子ちゃんがよく見えてしまって、頭を悩ます全国に蔓延るおにいやん達――
「ふふっ……あははははッ!? “最高”だなおい」
「そうさ、ココからが“最高”になるだろう」
俺と女王はお互いの顔を見詰め合って、嗤う。
「とんでもねえ“シナリオ”を用意したもんだ」
はじめは神を殺す側の神に拾われたお話から始まり、気がつけば俺は地獄に辿り着いていた。
どちらも“同じ目的”ムカつくクソ神を殺す為。
――目的を果たすため、復讐を達成するため。
本当の意味での私利私欲だけの“絶対なる悪”。
「ここからさ……“天国”を“獲りに行く”」
「それが――“女王様の目的”だ」
「ジジイ……じゃねえや、“ワンさん”……」
ずっと、黙りを決め込んでいたワンさん。
しかし、ここにきて遂にその執事が口を開く。
「“荒廃”が始まってきた“天国”を変えるのさ」
「……?」
女王の言葉がまた理解できない――
「“二つも地獄”はいらないだろう? ふふっ」
「“地獄”だって、“娯楽の世界”は欲しいんだ」
「――闘いが終わった時天国は“我々のモノ”」
血の気が引いていくのがわかった。 ヤバすぎるそのパワーワード。 これが“絶対なる悪”――
スケールがでかすぎてもう、なにも言えない。
これは神――悪魔。 “どちらの物語”なのか。
「……くくっ!? 分からん……」
そんな高度な頭脳を持たぬ、元人間の俺には全くわからなかった。 しかし、ひとつだけ。
“正義”とは、そいつ自身の考えにより変わる。
強大なヤツが正義だと唱えればそれはもう正義。
力無きものはそれが正義だと思い疑わない。
力無きものは正義を語る事は許されない――
例え、それがイカれた正義だとしても、発言者が強大であればあるほどに、イカれた言葉が真の正義にすり変わってしまう。
「さて……戻ろっか“坊や”?」
「あぁ……」
「つまらない話はここまで。 戻るわよ」
「うっす……」
俺は空間を切り裂いて創られたゲートに向かおうとしていた。 女王に導かれるように。
「“ヨク”、“暴”。 アナタ達も来なさい」
「……」
ヨクも暴も無言だった。 ただ導かれるまま――
「それじゃ……“荒廃”した“神の世界”へ」
痺れるようなその低いトーン。
「“ワン”? “飛ばせ”」
「はい、“女王様”」
……そして。
――“女王に操られる”俺達の姿があった。