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シングルファザー宵を仰げば  作者: ハイクオリティ鈴木くん
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9月12日:娘の要求


9月12日


今日、私は娘と一緒に買い物に出た。

明日から、仕事が忙しくなってしまうので、ある程度買いだめをしておかないといけなくなったことと、娘が珍しく「ランドセルが見たい」と言い出したためである。

妻がなくなってから数か月、状況を理解した娘は、はじめこそ泣き疲れるまで泣いていたものだったが、今では落ち着き、以前よりは暗い面持ちをみせるものの、なんとか立ち直ったようである。


妻がいなくなり、育児もやらなければいけなくなった私は、眠る時間を削ってでも、仕事と育児を両立しようとしていた。

そうした姿を見ているからか、娘は落ち着いてからは、子供らしいわがままはあまり言わなくなっていた。

いや、単純に、私に対して甘え方がわからないだけなのかもしれない。いままでのツケが回ってきたのであろう。


こうした事情から、娘の要求は、私にとって非常に珍しいものだった。

時期的にみても、多少早い気がしたものの、娘の要求を無下にしてしまうと、また関係が遠ざかってしまうのではないかと危惧した私は、買い出しといっしょに、ランドセルを見に行くこととした。


しかし、私が頑固なせいか、娘の選ぶランドセルが理解できなかった。

時代の違いか、余計な機能が満載のきらびやかなランドセルは、私にとって余計なものにしか見えなかったのである。

そんな私の雰囲気を察してしまったのか、娘は最初に選んだものよりも、幾分か地味なランドセルを選び直してきた。

私は、「しまった」と思ったものの、派手な物よりは、地味なほうが目立たなくていいと考え、そのまま購入したのである。


帰り、娘は行の時よりも口数が減っていたが、私は疲れているのだと思い、特に触れはしなかった。

娘にプレゼントを買ってやれたという満足感だけが、車内の沈黙をその時は満たしていたのである。


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