プロローグ
ヒュルルルルルルル......
虚ろう意識の中で、三上慎吾は自分が落下していることを直感的に感じ取っていた。
周りにひろがるのはどこまでも続く暗闇だけであり、その他には何も見えない。
実際のところ、自分は落ちているのではないのかもしれない。
確実に何か大きな力で飛ばされているような感覚はするのだが、なにせ頭がぼんやりとしていてまともに考えるという行為をすることができない。
これは夢の中のワンシーンでしかなく、目が覚めたらベッドの上にいて、いつも通りのつまらない日常に引き戻されるだけのことかもしれない。
そんなことをぼんやりと考えながら、流されるままに、しかし確実にシンゴはどこかへ運ばれていた。
......それにしても随分と長い落下シーンだな。 そろそろ目が覚めてもいいんじゃないだろうか。
ちょっと不安になってきたな。
そう思った直後だった。その落下?はあまりに唐突に終わりを告げた。
「うっ...がっ...」
ドスン!!、という鈍い音とともに、体が何か堅いものに打ちつけられたのだ。
ほらみたことか!やっぱり自分の認識はまちがっていなかった。
つまり自分はどこからか落下して、そして今まさにこの地面に叩きつけられたのだ。
シンゴは目を潤ませながら、全身に広がっていく痛みとしばしの間戦っていた。
どれくらいの時がたったのだろうか。
痛みが段々とひいていく。
それと同時に、もやがかかったような感じだった頭もクリアになってきた。
まだ残る痛みに顔を歪ませながら、シンゴは何とか立ち上がった。
そして大きく息を吸い込み、吐いた。
肺に鋭い痛みが生じたが、冷静になるために脳に酸素が必要だ。
「ふう......」
シンゴは小さくため息のようなものを漏らし、天を仰いだ。
これは夢なんかじゃない。
紛れもない現実だ。
そう、シンゴは自分自身に起こったすべてのことを、たった今思い出していた。
アドバイス等ございましたら、是非よろしくお願いします!