夢?の中の声
薄く甘い香りが鼻をつく。空気の匂いが変わっている
「......どこだここ」
目を開けるとそこは馬車の幌の中ではない。石の壁に囲まれ、遥か上空から光が木漏れ日のように射し込んでいる場所だ
「薬でも盛られたか。あのクソジジィマジ捻る」
(届いた)
どこからか聞き覚えのある声がする
「!?。さっきの、どこにいる。出てきやがれ!」
(私はそこにいないわ)
「ここにいないだ?。どういうことだ!」
(私のいる場所をあなたの意識に映しているの)
「何言ってんだお前!」
(やっぱり理解してもらえないか)
「オークにでもわかる説明をしろ!。訳わかんない事言ってんじゃねえよ!」
(ユグドラシルに来て。私はそこに居るから)
「ユグドラシル?。そこに何かあるって言うのか!」
(必ず見つけて。待ってるから)
「ちょっと待てよ!。お前はどこに」
(助けて)
「っはあ!」
「うわっ!」
「はあ、はあ、はあ。レイス?」
「どうしたんですか急に」
「夢に、女の子の声が」
事情を話すと、レイスの顔が哀れみのものになる
「ルキア....お察しします」
「てめえ.....」
「違うんですか?。彼女いない歴=年齢の事じゃ」
「違う!。断じて違う!いや違わないけど!違う!」
「病院行きましょう。これが終わったら付き添いますよ」
「だ か ら 違うっつてんだろうが!」
「どうどう」
「ッーーーーー」
突然こんなことを話しても理解してもらえないとは分かっていても腹が立つ。
ルキアは顔を真っ赤にして幌の座席を殴る
妖精の森を抜けた馬車は、ユグドラシルに向かってスピードを上げる