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攻撃魔法が使えない騎士の何が悪い  作者: リプチー
ユグドラシル調査
18/19

息抜きの時間

.......

片方のハサミを失った蟹は動きが極端に鈍くなり、すぐに絶命した


「腕切っただけで死んだんだけど」

「樹木蟹は外殻が硬いだけですから、肉に直接攻撃すれば一撃でも致命的なダメージになりますよ」

「弱すぎか」

「樹木蟹は幹の内側に潜んで、通りかかった獲物を補食して生きていますから、知識のある者に反撃されたら勝ち目は無いんです」

「そんなのに殺されかけたのか俺は」

「っふふっ」

「笑うな!」


ルキアは、残った片方の蟹の腕を持ち上げる


「これ食えるのか?」

「はい。殻を剥がすのには手間がかかりますが、ハサミの内側の肉はたんぱく質も多く美味しいですよ」

「へえ」


ルキアは大剣を関節に当て、左右させてハサミを切り離す

殻と殻の重なる部分に剣を挿し込み、柄に足をかけて勢い良く力を入れる

殻が音を立ててめくれあがり、その中から薄い桃色の混じった肉が現れる


「おお、これはまた良い艶が」

「実際に見てみると話で聞いていたより綺麗ですね」


ルキアは残った殻も同じ手順で剥がしていき、内側に隠れていた肉を剥ぎ取る


.........


蟹の甲殻を削って、簡易的な肉焼き道具と串を作る。

串に蟹の肉を刺し、台の上に乗せる

そこにレイスが魔法で火を起こす

暫くすると、肉から水が滴り火に当たって弾ける

肉の焼ける匂いが二人の鼻を刺激する


「みずみずしい!」

「味もしつこくなくて食べやすい。宿屋で食べる料理された物もいいですが、自然の味も格別ですね」


二人は準備した肉に加え、放置していたもう片方のハサミの肉も剥ぎ取って、肉焼き器の上に乗せる


..........


「さて、もう少し頑張らねえとな」

「ルキアにしては本当に珍しいですね。こんなに真面目に仕事に取り組むなんて。いつもなら愚痴が止まらないのに」

「たまには熱心に仕事してないと給料減るだろうが」

「そうですね。ところで、ここからはどうやって登るつもりですか?。また壁を三角跳びしていくんですか?」

「それについてだが、レイス。さっきの魔法を使ってくれ」

「さっきの魔法ですか?」

「えーとなんだっけ?風よなんちゃらって」

「それですか。分かりました」


「風精よ 踊れ」


風がルキアとレイスを浮き上がらせる


「動き方は普通に歩くのと変わりません。ルキアなら問題なくこなせるでしょう」

「決まってるだろ?。誰に鍛えられたと思ってるんだよ」


ルキアは剣を納めると、すぐに走り出す


「んじゃなー!お先にー」


ルキアの姿はあっという間に十二階層を抜けていく

彼の魔力の反応がみるみるうちに離れていく


「.......さて、僕達も行くとしますか。精霊さん、お願いします」


精霊が風を起こすとレイスを囲み彼の体を運ぶ


現在 ユグドラシル十四階層

目的地まで残り十六層

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