第二の試練2
レイスを置き去りにし、壁から壁へと縦横無尽に飛び回り、ユグドラシルを登っていく
その勢いは驚くべきもので、ルキアは既に十二階層まで到達していた
「風が気持ちいいぜ」
ユグドラシルの魔力がルキアの魔法に反発することで、発動した魔法が格段に強化されている
壁を蹴るルキア自身の身体能力に魔法が加えられ、更にユグドラシルの魔力の反発もあり、現在のルキアの力は普段の10倍を越えている
レイスの話によると、ユグドラシルは二十階層以降は騎士であっても苦労する程らしい
「どうだかなあ。全くしんどいなんて思わないけど」
ルキアは涼しい顔で次に待つ十三階層へと向かう
次で十二階層を抜ける
ルキアが壁に飛び移り、足に力を込めた時
グォッという奇妙な音が聞こえたかと思うと、足に刺のような感覚があった
「っづ!」
ルキアが足に目を向けると、そこには巨大な蟹が木目を突き破り顔を覗かせ、強靭なハサミに彼の足を掴んでいた
「は!?」
蟹はハサミを振り上げる
ルキアはハサミに掴まれたまま、壁に激突する
蟹はハサミを乱暴に振り回す
ルキアはそれになされるままに宙を行ったり来たりする
蟹がハサミの力を緩めると、ルキアは投げ飛ばされ、再び壁に激突する
「がっ!」
ルキアが目を開けると、蟹の姿はついさっきまでいた場所から消え、変わりに地なりのような音が壁の中を進んでいた
背後の壁が大きく盛り上がった
「まさか」
壁がぶち破られ、そこから巨大なハサミが飛び出る
「嘘だろおい!?」




