簡単すぎる木登り1
ユグドラシル第二階層中部
「ルキア。何故転移魔法を使わないのですか?。いつも通りの貴方なら、めんどくさい。疲れる。やってらんねえ。とか言って転移すると思いましたが」
それまで適当な話しかしなかったレイスが突然まともな質問をしてくる
「いや、なんだ。たまには運動もしないとなんてな」
「本当ですか?」
「うっ」
(何だよその目。さっきの声の主を探すんだよ。何か悪いか)
「じ、ジイさんが言ってたんだよ。転移魔法を使用したら二週間食費を自腹にするって」
「.......ふむ。なるほど、分かりました」
適当にシドの話を出すと、レイスはほんの数秒考えてすぐに納得する
(ちょろいな)
ルキアは樹皮に手を触れたまま生成された階段を登る。その最中でもレイスと会話しながらも常に魔法を発動し、樹皮を階段に変形させているいる
「貴方はそちらの魔法は完璧ですね。そちらの魔法だけですが」
「悪かったな」
「誰も悪いなんて言っていませんよ」
そう言うレイスの声は嫌味っぽいものだった
「仕方ないだろ。生まれつきああいう魔法は出来ない体質なんだよ。医者の証明つきだクソ」
「ああ......」
「やめろ!。その全てを理解仕切って急に余計な事を聞いたことに罪悪感を感じてしまった感じの声を出すな。むなしくなる!」
「......完全に【出来ない】方だったんですね。そんなに深刻なものとは」
「だからその哀れみに満ちた声で話すな!」
「しかし」
「気にしてねえから早くやめろ!」
ルキアが怒鳴ると、レイスも事情を察して黙る
「.......」
「ルキア、そんなに怒らないで下さいよ」
「怒ってねえわ。そんなことより早くいくぞ」
階段を登っている最中に、何人かフィオネの騎士団を見かけたが、地道に樹の壁を登っているだけあって、ルキアとレイスより先に入ったにも関わらず、まだ第三階層の半分までしか到達していなかった。
会話に集中していて二人は気づいていなかったが、ユグドラシルの内部に入って十数分という短時間で、本来はプロの登山家や、ユグドラシル専門の研究員などの専門家でも四十分はかかるというユグドラシル第四階層まで到達していた
現在 ユグドラシル第四階層下部
目的地 ユグドラシル第三十階層
目的地まで残り二十六層




