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二
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庭先で、小鳥のさえずる声が聞こえる。
覚醒し出した頭が、それを知覚する。目を開くと、確かに庭先には小鳥たちが仲睦まじげに戯れている。いまだ半分眠ったままの上半身をどうにか起こすと、その気配に驚いたのか、小鳥たちは一斉に飛び立ってしまった。
縁側に向いた部屋で、いつの間にか転寝をしてしまったようだ。
懐かしい夢を見ていたように思う。
私はしばらくの間ぼんやりと、庭にたゆたう陽射しを眺めながら、その余韻に浸った。
けれど、どんな夢だったのかを思い起こそうとしても、寝起きの頭は、紗がかかったようで、夢の続きを追うことを許さない。
久しぶりの妊娠だからなのだろうか。身体が重くて仕方がない。
前の時はどうだっただろう。記憶を遡る。
長男を産んだ時はまだ二十歳にもなっていなかった。昔過ぎて思い出せない。次男の時は……。思い出そうとしたけれど、茫洋とした意識は思考を真っ白にするだけで、私は、ただ、庭の片隅で花開く菫の紫色の花弁を見るともなく視界に焼き付けていた。




